- 著者
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坂田 晃一
- 出版者
- 尚美学園大学
- 雑誌
- 尚美学園大学芸術情報学部紀要 (ISSN:13471023)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, pp.145-156, 2004-03-31
我々の生活の中には音楽が溢れている。音楽はひとにどのように受けとめられているのであろうか。そこには実に多くの要因が関与しているように思われる。今回、私がかつて作曲した「NHK連続テレビ小説『おしん』」のテーマ音楽を取り上げ、聴き手がそれをどのように受けとめるのかを半構成的インタビューによって調査した。半構成的インタビューという方法をとったのは、連想の内容に一切の制限を加えない「自由連想法」による分析を行うためである。本稿では一般的な法則を引き出すのではなく、作曲上の意図が視聴者にどのように伝わっているのかに主点を置いている。聴き手がテレビドラマのテーマ音楽をタイトル・バックの映像と共に聴くことにより、ドラマの内容についてどのようなイメージを持つのか、テーマ音楽の役割がどのように機能しているのか、個々の受けとめ方の違いを調査し、分析、統合した。聴き手として、本学の学生10名(いずれも芸術情報学部音楽表現学科)を選び、個別にタイトル・バックの映像と共にテーマ音楽を聴かせ、その後インタビューを行った。