- 著者
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河野 元昭
- 出版者
- 尚美学園大学芸術情報学部
- 雑誌
- 尚美学園大学芸術情報研究 (ISSN:18825370)
- 巻号頁・発行日
- no.12, pp.9-21, 2007-11
日本文人画誕生の秘密を解くためには、岡倉天心が『東洋の理想--特に日本美術について--』において指摘したような日本文化の本質的な性格を知らなければならない。その表層だけを眺めてはならない。これは日本文化について考察する際、つねに忘れてはならないことだが、日本文人画の場合には、とくに心に留めておく必要がある。それは中国絵画との関係がきわめて密接だからである。その基本的様式が中国絵画によって規定されているからである。そして日本文人画家の中国憧憬が誰よりも強かったからである。本論は『芥子園画伝』など中国画譜の学習と、荻生徂徠が重視した唐話学を改めて取り上げることによって、日本文人画誕生における中国憧憬の重要性を指摘したものである。