著者
篠ヶ谷 圭太
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.256-267, 2008-06-30

本研究では,事前に教科書を読むという予習が授業理解に与える影響とその個人差について,中学2年生を対象とした歴史授業を用いて実験的に検討した。また,予習の効果の授業内プロセスについて検討を行うため,ノートのメモなどの授業中の学習方略に注目した。さらに本研究では,予習が授業への興味に与える影響や,予習時の質問生成の効果についても併せて検討した。予習群,質問生成予習群,復習群を設定した実験授業を行い,予習-復習,質問生成あり-なしの対比を用いて検定を行った結果,予習は歴史の背景因果の理解に効果を持つことが示された。ただし,学習観を個人差変数とした適性処遇交互作用(ATI)の検討の結果,そのような予習の効果は学習者の意味理解志向の高さによって異なることが明らかになった。また,学習方略に注目した授業内プロセスの検討の結果,予習が授業理解に与える影響とその個人差は授業中のメモを媒介して生起することが示された。さらに本研究では,予習は授業への興味を下げないことや,予習時の質問生成には効果が見られないことが示された。

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【CiNii 論文】予習が授業理解に与える影響とそのプロセスの検討 : 学習観の個人差に注目して https://t.co/v7dflBNKQa |「予習は歴史の背景因果の理解に効果を持つことが示された。ただし,(中略)予習の効果は学習者の意味理解志向の高さによって異なる」
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