- 著者
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村上 信
濱野 強
藤澤 由和
- 出版者
- 新潟医療福祉大学
- 雑誌
- 新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.1, pp.43-50, 2007
2005(平成17)年6月に改正され, 2006(平成18)年4月より施行された介護保険法では「地域」を重視し,「地域包括ケア」の考え方が基本的な方向性として示されている。こうした「地域包括ケア」システムを実効あるものにするためには,その一端を担うケアマネジャーのケアマネジメント力の能力の向上が大いに寄与するものと考えられる。そこで本稿においては,筆者がスーパーバイザーを担当した支援困難事例に対する事例検討会で取り上げられた事例の分析を通して,主任ケアマネジャーが直面している高齢者ケアマネジメントの現状について考察を行い,今後の具体的な課題に関して検討を行なうことを目的としたものである。その結果,「潜在化しているニーズ」をもつ利用者を中心に,利用者とケアマネジャーが共通のニーズを合意できないままに,「利用者との相互作用」に困難を来しているところにあると考えられた。今後はこうした要因の解決に対して有効となる支援プログラムの構築が求められるとともに,スーパービジョン体制をより展開していくためのスーパーバイザーの育成についても検討していく必要があることが考えられる。