著者
田中 秀和 Tanaka Hidekazu
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.80-87, 2012-11

Yuki Honda, the educational sociology person, did the following opinions. 1 Employment from a school, 2 Hyper- meritocracy, 3 Educational professional meaning 4 NEET theory. This paper performs these arrangement. Her idea will have influence good for a future argument.近年、日本社会において若年者をめぐる動向は激変期を迎えている。格差社会の進展や貧困の深刻化が進行している中、若年者もその影響を受けている事実を否定することはできない。そのような中、教育社会学者の本田由紀は、若年者を取り巻く環境を学問的に整理し、「学校経由の就職」を廃止することや、教育の職業的意義をより高めるような教育を行っていく必要性を主張している。本稿では、ひとりの学者である本田由紀に焦点を当てて、その主張点を洗い出し、今後、よりこの領域の議論が活発化することを目指す。
著者
寺田 貴美代 Terada Kimiyo
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.21-27, 2015-03

In the social welfare domain, systems theories have been actively introduced into the core of social work research, also helping to accomplish theoretical developments in social welfare research in Japan. However, such systems theories often refer to general system theories, and domestic research reliant on social systems theories has been extremely limited. Although it must be said that social systems theories have not penetrated the field much compared with general systems theories to date, the significance of their introduction has been advocated for over 30 years in Japanese social welfare research, with its importance continuing to be pointed out by several commentators to present. To this end, this manuscript aims to synthesize the ways that social systems theories have been injected into research on Japanese social welfare, and to organize the accumulation of research that incorporates knowledge related to them. Social systems theories adopted by preceding studies can be broadly divided into the social systems theory of Parsons and new systems theories( represented by the social systems theory of Luhmann), and they possess individual, unique genealogies: we differentiate then sort them accordingly in this manuscript. Our results make it clear that social systems theories include much knowledge that can be plentifully referenced when applied to the context of social welfare in Japan, and evaluate their validity and potential for use as high. However, theoretical limitations are also identified; when considering such introductions, we note that it is necessary to make use of social welfare research when considering such introductions, sufficiently and carefully scrutinize them by consulting the wide body of knowledge accumulated to present, which includes neighboring fi elds, and to make use of this knowledge in social welfare research.社会福祉領域では、ソーシャルワーク研究を中心にシステム論が積極的に導入されており、日本の社会福祉研究においても理論的発展を遂げてきた。ただし、ここでいうシステム論とは一般システム論を指すことが多く、社会システム論に依拠する国内の研究は極めて数が限られている。現状では一般システム論に比べ、社会システム論はあまり浸透していないと言わざるを得ないが、導入の意義自体は日本の社会福祉研究において30年以上前から論じられ、現在まで複数の論者によってその重要性が指摘され続けている。そこで本稿では、社会システム論が日本の社会福祉研究に、これまでどのように導入されてきたのかをまとめ、社会システム論の知見を活かした研究の蓄積を整理した。その際、先行研究に適用されてきた社会システム論は、パーソンズによる社会システム論と、ルーマンに代表される新しいシステム論に大別でき、それぞれ独自の系譜があるため、本稿でもこれらを区別して整理した。その結果、社会システム論には日本の社会福祉領域の文脈に置き換えても十分参考になる知見が数多く含まれており、社会システム論の有効性や可能性が高く評価されていることが明らかとなった。ただし、理論的な限界も指摘されており、その導入に際しては、近接領域も含めてこれまで培われてきた幅広い知見を参考にして十分に吟味した上で、社会福祉研究に生かす必要があることを指摘した。
著者
藤本 知臣
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.2-8, 2023 (Released:2023-12-25)
参考文献数
47

近年、マラソンやオープンウォータースイミング、登山や水中レジャー活動といった自然の中で行われるスポーツ・アクティビティの競技人口が増加している。これらのスポーツやレジャー活動が低気温下や冷水下といった寒冷環境下で行われる場合には、体温の低下を防ぐために皮膚血管収縮やふるえ熱産生といった体温調節反応が生じる。さらに、運動中には体温調節反応だけでなく、運動に伴い活動筋における熱産生が生じることから、体温の低下が起こりにくいと考えられる。しかしながら、実際に寒冷環境下でのレジャー活動や運動時には体温が過度に低下する「低体温症」が発症する場合がある。体温調節反応に加えて運動に伴う熱産生が起こるにもかかわらず低体温症が生じることから、運動時に発症する低体温症には通常の熱収支とは異なる「運動時特有の要因」があると考えられ、現在までいくつかの研究において検討されている。本稿では、ヒトが寒冷環境下でのスポーツ・アクティビティを安全に行い、ハイパフォーマンスを発揮するための一助になることを目指し、寒冷環境下で生じる体温調節反応や運動がそれらに及ぼす影響について概説し、運動時にも関わらず生じる低体温症の発症メカニズムやその予防法を考える。
著者
山口 富一
出版者
新潟医療福祉大学
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.36-42, 2005-03-14

言語聴覚士 (ST) の分野である聴覚障害 (児) 者に対することばの指導やコミュニケーション方法獲得に対する取り組みは古くから行われてきている。国内外の取り組みの歴史と専門職としての言語聴覚士誕生の経緯と、日本における言語聴覚士の国家資格制度が遅れたいきさつを年代を追って、関係諸団体の主張と対立・意見調整の過程を振り返る。言語聴覚士の活躍する多様な職場と多様な養成機関の並存という現状を踏まえての養成が必要と考える。
著者
村上 信 濱野 強 藤澤 由和
出版者
新潟医療福祉大学
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.43-50, 2007

2005(平成17)年6月に改正され, 2006(平成18)年4月より施行された介護保険法では「地域」を重視し,「地域包括ケア」の考え方が基本的な方向性として示されている。こうした「地域包括ケア」システムを実効あるものにするためには,その一端を担うケアマネジャーのケアマネジメント力の能力の向上が大いに寄与するものと考えられる。そこで本稿においては,筆者がスーパーバイザーを担当した支援困難事例に対する事例検討会で取り上げられた事例の分析を通して,主任ケアマネジャーが直面している高齢者ケアマネジメントの現状について考察を行い,今後の具体的な課題に関して検討を行なうことを目的としたものである。その結果,「潜在化しているニーズ」をもつ利用者を中心に,利用者とケアマネジャーが共通のニーズを合意できないままに,「利用者との相互作用」に困難を来しているところにあると考えられた。今後はこうした要因の解決に対して有効となる支援プログラムの構築が求められるとともに,スーパービジョン体制をより展開していくためのスーパーバイザーの育成についても検討していく必要があることが考えられる。
著者
山本 智章 佐藤 成登志 石川 知志 Yamamoto Noriaki Sato Naritoshi Ishikawa Tomoji
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.46-50, 2008-12

We reported clinical results of the treatment of lumbar disk disorder patients by using active traction apparatus DRX-9000(Axiom Worldwide, Tampa, FL, USA). Fifty patients were received 30-minites sessions every week or 2 weeks, for 3 months. Pain as measured on visual analog scale rating significantly decreased at 4.91±0.93 to 2.69±1.02 (p<0.01), and 76% patients indicated satisfaction for treatment. . DRX-9000 spinal decompression is expected to improve discogenic low back pain producing negative pressure in intervertebral disc by different mechanism from conventional traction. Further studies are requires to demonstrate the evidence of effectiveness of DRX-9000 treatment on lumbar disc disorders.能動的牽引治療器DRX-9000による椎間板障害患者の治療を行い、76%の患者で疼痛の改善効果が得られた。これまでの牽引装置と異なるメカニズムで椎間板に陰圧を生じることにより除圧効果が期待される。本治療器の有効性の確立にはさらなる検討が必要であり、Randomized double blind trialを含めた研究の蓄積が求められる。
著者
江原 義弘 前田 雄 須田 裕紀 佐藤 未希 郷 貴博
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.61-66, 2021-11-30 (Released:2021-11-30)
参考文献数
13

医療系大学ではほとんどの学生が国家資格を取得することを目標に入学しているので国家資格試験の合格率は最大の関心事である。各学生の国家試験合格確率と学科全体の合格率が1年前から推定できる方法を提案した。これによって昨年と同じ対策で良いのか、それとも対策を変更する必要があるのかを、具体的なデータに基づいて検討することを可能とするためである。定員40名のある学科の1年間の模擬試験の成績と実際の合格・不合格のデータから、ある時期の模擬試験である点数を取った学生のうち何人の学生が合格していたかの合格確率を点数ごとに計算した。この確率と経時変化を折れ線グラフでモデル化した。このモデルを他の年度のデータに適用した。これによって各回の模擬試験の点数から各学生が昨年度と同じ努力をした場合の本番の試験の合格確率が推定できた。合格確率を合算することで学科全体で何人が合格可能かを推定できた。4年間の結果は、予測された合格率を実際の合格率で除した値を的中率とすると、各年度における2か月前の時点での的中率は0.86、1.00、0.99、1.13となった。当初の予想が悪い結果であれば対策を変更し、試験直前の予測が合格率100%となり、試験当日100%合格を実現できるのが理想的なシナリオである。
著者
寺田 貴美代
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.49-54, 2019-11-29

本稿は、多文化ソーシャルワークに関する国内の研究論文を文献調査によって整理し、その定義やアプローチの発展についてまとめたものであり、個別領域における適用可能性を把握し、多文化ソーシャルワークを活用する上での課題を明確化することを目的としている。具体的方法としては、日本において主流となっている多文化ソーシャルワークの定義を紹介した上で、この定義に基づくアプローチの発展についてまとめ、難民支援や就学支援などの個別領域におけるこのアプローチの適用可能性を整理した。さらに、多文化ソーシャルワークを活用する際の課題についてまとめ、特にカルチュラル・コンピテンスに基づく支援の重要性が指摘されていることを明らかにした。これらの結果から、多文化ソーシャルワークはカルチュラル・コンピテンスに基づいて、多様な背景を持つ人々への支援を視野に入れたアプローチとしてのさらなる発展が期待されていることが示唆された。また「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」において、社会正義や人権、集団的責任と並ぶソーシャルワークの中核的原理の一つとして多様性の尊重が位置づけられているように、日本でもより広義の多様性に対応し、クライエントの社会的背景に配慮した支援体制の構築に寄与するよう期待されていることが明らかとなった。症例・事例・調査報告
著者
岩森 大
出版者
新潟医療福祉大学
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.71-82, 2002-12

本研究では,ソーセージの品質と消費者嗜好の関係を総合的に捕らえ,評価方法を確立し,商品開発のあるべき方向性について示唆を与えることを目的とした。まず,市販のソーセージ22種について,水分,粗蛋白,粗脂肪,全糖量,遊離アミノ酸,灰分,塩分の定量分析を行った。また,テンシプレッサーによる破断強度の測定を行なった。官能評価では,学生パネル約200名と専門家パネル6&acd;12名の2種類のパネルを構成した。試料は,一般成分と物性を測定した試料と同じものを用いた。評価項目は,香りについて,風味について,テクスチャーについて,味について,さらに高級感,飽きやすさなどに関する38項目とした。客観的にソーセージの品質特性を探るために,質問項目の中から成分値と対応しているものを選択し,その関係を調べた。さらに,学生164名を対象に,一般的な食嗜好傾向と食行動に関する意識調査をおこなった。そして,相互の関連性について解析した。
著者
袖山 悦子 志田 久美子 小林 由美子 北谷 幸寛 Sodeyama Etsuko Shida Kumiko Kobayashi Yumiko Kitatani Yukihiro
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.41-47, 2012-11

The present study aimed to provide knowledge on the promotion of interprofessional collaboration including health professionals who implement care for the elderly with a wide variety of needs. A survey was carried out to understand elderly care professionals awareness of their specialties and cooperation with other specialists. Subjects were 49 physical therapists, speech therapists, occupational therapists, dietitians, nurses, and care workers who have been working for approximately four years in long-term care health facilities, hospitals, and care stations in Prefecture A. Survey items included: 1) specialties and disadvantages regarding the professions of the subjects, 2) the necessity of collaborating with other professionals and its reasons, 3) priorities in collaborating with other professionals, and 4) the degree of ease in collaborating with other professionals and its reasons. Data were analyzed by tallying up scores by survey item. Descriptions were classified according to their similarities, and category names reflecting their themes were added. Associations among the categorized data were then examined to identify factors contributing to the promotion of collaboration. The results were as follows: The subjects collaborated with other health professionals while recognizing its necessity, and most of them cooperated with nurses. Health professionals involved in elderly care were aware of their specialties and disadvantages, and attempted to provide care that compensates for those weak points in collaboration with other professionals. It is also necessary to set up meetings and other opportunities for opinion exchange to promote interprofessional collaboration.本研究は、多様なニーズを持つ高齢者ケアを実践している各専門職が多職種の中で自己の職種をどのように捉え、他職種をどのように活用しているのかの実態を調査し、連携促進への示唆を得ることを目的とする。研究対象は、A県内の介護老人保健施設、病院、ケアステーションに勤務する就職後4年目の理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、栄養士、看護師、介護福祉士の49人である。調査内容は、①自己の属する職種の専門性・弱点、②他職種との連携の必要性とその理由、③連携する職種の優先順位、④他職種との連携し易さとその理由である。データ分析方法は、調査項目ごとに単純集計した。自由記述については、意味内容の類似性に従い分類し、その内容を反映したカテゴリーネームをつけてデータを分析した。次に分析したデータ間の関連性を解釈し、連携促進への要因があるのか考察した。その結果、「各専門職は連携の必要性を認識して多職種と連携しており、看護師が連携する職種の第1位だった」「各専門職は、自己の職種の専門性・弱点を自覚し、他職種と連携して弱点を補完したケアをしようとしていた」「多職種連携では意見交換ができる時間や場を設定することも必要である」ことが明らかになった。
著者
小藪 明生 濱野 強 藤澤 由和
出版者
新潟医療福祉大学
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.60-63, 2007

近年,われわれの生活の質や幸福感に影響を与える要因として社会的な要因に着目した観点の必要性が提唱されているなかで,地域の社会的要因であるソーシャル・キャピタルに関してその関心が高まっている。そこで本論においては,一般的信頼をソーシャル・キャピタルの代理変数として捉え,先行研究において用いられている一般的信頼に関する位置づけに関して網羅的な検討を行なうことを目的とした。その結果,一般的信頼を用いることの利点として,多様な手法によりある種のソーシャル・キャピタルの把握が可能になるとともに,地域間比較や経年的変化をも加味した研究デザインに基づく検証をも可能になることが考えられた。
著者
吉田 麗玖 増村 侑希 笠原 一希 村上 優太 佐藤 成 中村 雅俊
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.71-77, 2023 (Released:2023-03-31)
参考文献数
11

本研究の目的は、異なる角度のインクラインベンチプレスにおいて、大胸筋の鎖骨部・胸肋部、三角筋前部線維、上腕三頭筋の筋活動の違いを明らかにすることである。対象はレジスタンストレーニングの経験がある健常成人男性16名とした。相対重量として各傾斜角度における1RMの70%の重量、絶対重量として40kgを負荷として設定し、各傾斜角度において筋電図測定を行った。結果は70%1RM条件にて、大胸筋胸肋部で傾斜角度の増加により有意に筋活動が減少した。一方、他の部位では、各傾斜角度において筋活動に有意な差は認められなかった。また、40kgの条件では、大胸筋鎖骨部、三角筋前部では傾斜角度の増加により筋活動は増加し、大胸筋胸肋部では筋活動が減少した。本研究の結果、70%1RMの重量において、フラットベンチプレスが4筋に高い筋活動を生じさせる最も効率的な種目であると示唆された。一方、同じ重量を用いた場合、20°、40°、60°のインクラインベンチプレスにおいて大胸筋鎖骨部の高い筋活動を生じさせる種目であると示唆された。
著者
鵜瀬 亮一 中村 絵美 佐藤 勉 石川 智雄 佐藤 和也
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.57-60, 2021-11-30 (Released:2021-11-30)
参考文献数
9

現在野球界では、年代を問わず球数制限やイニング制限による投球障害防止の議論が盛んになされている。中学生は発育スパート期にあり、特に身体のバランスが大きく変化しやすい。本調査は、中学野球選手の公式戦と練習試合における登板人数と球数の実態把握を行なうことを目的に、新潟県中学校体育連盟に所属する軟式野球部(前期147校、後期151校)を対象に調査を行なった。調査期間は前期と後期の2期に分け、それぞれ前期2019年3月から7月、後期2019年7月から11月であった。その結果、1試合平均登板人数は公式戦の前期が1.68±0.73人、後期が1.89±0.77人、練習試合の前期が2.16人±0.97、後期が2.23±0.94人で前期・後期ともに公式戦が有意に少なかった。1試合を完投する投手の割合も前期が公式戦46.6%、練習試合が25.7%、後期が公式戦32.9%、練習試合が19.7%と前期・後期ともに練習試合の方が有意に低かった。また、公式戦で完投した投手の平均球数は前期92.1±24.3球、後期89.9±20.6球であった。今後はチームの所属人数や強さなども考慮に入れながら、平均登板人数が少なくなる要因を検討していきたい。さらに、中学軟式野球において定められた投手の球数制限(1日100球)については、その医学的な根拠を示すことも求められるだろう。
著者
横山 豊治
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.89-98, 2003

ソーシャルワーカーに焦点を当てて創作され、放映された連続テレビドラマである「天使のように生きてみたい」(1992年)の第1回放送分について、そこでのソーシャルワーカー像の描写の仕方をソーシャルワークの専門的視点から検討した。映像作品で一般に紹介されることが稀なソーシャルワーカーを主人公が目指す職種に設定し、この職種への関心を喚起している上に、厳しい経営環境の中でも患者サービスの向上を図る目的からソーシャルワーカーを新たに雇用し、専門の相談室を開設するという病院の取り組みを描くことで、医療機関におけるこの職種の有用性も示唆していた。しかし、養成教育のプロセスが簡略化されており、志望者に求められる専門知識・技術とその習得に要する努力が極めて軽く扱われている上、ソーシャルワーカーと他の医療職が立脚する根本的な価値観・基本的理論に関して大きな誤解を招くセリフが主人公によって明言されており、適切さを欠いていた。