著者
中沢 志保
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.19-37, 2009-01

本稿は,20世紀初頭におけるアメリカの政治・外交とヘンリー・スティムソン(Henry L. Stimson)の立場を考察するものである。スティムソンは,陸軍長官,植民地総監,国務長官などの立場で,20世紀前半期におけるアメリカの主要な対外政策に直接関与した。また,第二次大戦中の原爆の開発と投下決定においては圧倒的な存在感を持った高官として知られる。しかし,半世紀近いスティムソンの公職生活がアメリカの対外政策に与えた影響を検証する作業が,国際関係学やアメリカ史の分野において十分になされてきたとは言い難い。筆者は,国際関係学の視点から,スティムソンの全生涯を考察しつつアメリカの政治・外交の諸特徴を再検討する作業に着手した。したがって,本稿は一連の「スティムソン研究」の一部となる。

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