- 著者
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安松 みゆき
- 出版者
- 別府大学
- 雑誌
- 別府大学大学院紀要 (ISSN:13450530)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, pp.A17-A26, 2004-03
本発表では、1909年にミュンヒェンで開催された「美術における日本と東洋展」の解釈を試みるものである。ドイツにおいて日本美術の比較的規模の大きな最初の展覧会は、一般に1912年のベルリン芸術アカデミーが主催した「東洋古美術展覧会」と理解されている。しかし、それよりもわずか3年前に、ミュンヒェンでも規模的に1912年と見劣りしない展覧会の「美術における日本と東洋美術展」が開催されていた。奇妙なことにこの展覧会は、その開催事実すら指摘されることはほとんどない。そうした状況に置かれた1909年の展覧会をとりあげて、特に評価されなかった要因を模索するかたちで検討をすすめながら、この展覧会の実情を確認し、最終的に、この展覧会が日本美術を純粋美術として注目した点で、「異国趣味としての日本美術」から「学問としての日本美術」へと移行する重要な転機を示す展覧会であったという私見を提示したい。