- 著者
-
Furmanovsky Michael
- 出版者
- 龍谷大学
- 雑誌
- 国際文化研究 (ISSN:13431404)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, pp.45-56, 2008
1958年、占領後の日本ではじめて盛り上がった大衆文化がいわゆる「ロカビリー・ブーム」である。アメリカで一世を風靡した新しい「ロカビリー」音楽がすぐに日本にも広がり、数多くの日本の十代たちがこの音楽に強く影響され、戦後の新しい消費文化に煽られていった。東京でおこなわれた「日劇ウェスタン・カーニバル」のコンサートに集まった騒がしい「ロカビリー族」たちは、たちまち警察や当局やPTAから、少年非行につながるとして敵視されることになった。当時の過激派学生たちは、親米派の岸政権と正面から対決していたが、この学生運動と軌を一にして盛り上がったロカビリー・ブームは短命に終わったものの、60年代初頭に大衆文化産業が大いに花開く道を切り開いたのである。