著者
吉村 文成
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.43-58, 2007

同源の一神教として知られるユダヤ教、キリスト教、イスラム教はそれぞれ利息を禁止してきた。イスラム教はいまも建前としては利息を禁止、ユダヤ教は「同胞」に限って禁止し、また、キリスト教は中世末期の宗教改革で解禁した。中世ヨーロッパ社会にあってキリスト教聖職者らは利息禁止を強く主張したが、その主張の背後に、ユダヤ人を差別しながらも、その一方で特権的に「異教徒(キリスト教徒)」相手の金貸し営業権を与え、そのことで彼らを操り、その収益の一部を巻き上げる、いわば体制の維持装置という側面があったとみることができる。現代金融論では、利息とは、「いまのおカネ」と「未来のおカネ」の交換、いわばおカネの"異時点間交換"にともなう差額の補填である。こうした信用システムから必然的に生じる利潤の追求こそが、現代資本主義の根幹であろう。しかし、この仕組みによって生まれたのは、「いま」に取り込まれた「未来のおカネ」を実現するため、休むことなく馬車馬のように走り続け、経済の拡大・成長を追求することを運命づけられた社会である。いつまで持続できるのか。おカネはほんらい、暮らしに役立つモノやサービスと交換したときにその価値を発揮する。その点で、モノやサービスという効用の代理物であり、効用を数値化したシンボル(象徴)といえる。効用は有限だが、シンボルは無限である。逆説的だが、古(いにしえ)の賢人や諸宗教が利息を禁止したのは、シンボルが効用を離れて暴走し、「未来」という時間を侵食することへの畏れがあったのではないか。
著者
Furmanovsky Michael
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.51-64, 2010-03-10

ビートルズは日本の大衆文化において、唯一無二の地位を確立している。彼らの音楽や映像は、今もなおほぼ全ての商業界、娯楽産業界で見聞きすることができる。この現状からポピュラー音楽評論家や歴史研究者たちは、ビートルズは1960年台中期から後期において日本のポピュラー音楽文化の変革において、重責を担ったと認識している。1960年代後期の日本でグループサウンズ(GS)と呼ばれたバンドの外見上の服装やイメージなどは、この認識と合致するものである。しかし、実際は今もなお日本ツアーを行うアメリカのエレキギターを中心としたインストゥルメンタルグループ、ザ・ベンチャーズがビートルズよりも日本のポップス、ロック音楽の方向性を形成する上で多大な影響を及ぼしたと考察できるかなりの証拠が存在する。本稿では、1965年〜67年に興ったエレキブームの引き金となり1960年代、日本を代表するポップスミュージシャンたちの音楽スタイルや噂好の形成に直接的につながったザ・ベンチャーズの影響力について取り上げる。ザ・ベンチャーズは、日本のポピュラー音楽史においてビートルズと同等の重要な存在であり、グループサウンズの形成において基礎的な音楽的影響を与えたのは実はこのベンチャーズなのである。
著者
金 泰憲 李 允碩
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.119-128, 2007

韓国人の家族に対する価値観は伝統的に儒教思想に基づいている。儒教思想は、人間は子孫を通して永生を得ることができ、子孫は親を通して命を得ることができると考える。従って、子孫は家系を継承し、父母の老後面倒を見てあげなければならず、祖先を祭る責任を果たさなければならない。このような思想からは拡大家族制が理想とされ、長男を中心に家系と家産が相続される直系家族形態が普遍化してきた。韓国の伝統家族観は、日本の植民地と韓国戦争を経験しながらも相変わらず韓国の中枢的価値観としての位置を占めてきた。しかし、最近社会変化とともに韓国の伝統的な家族観は大きく、早く変わっている。多くの韓国人は老後子どもに頼るより独立して生きていくことを望んでいる。夫婦が葛藤を解決できなければ離婚も可能であり、自分のためなら子どもを生まないか、一人で満足するという考え方が広がっている。一人の子どもが男ではなく娘であってもかまわないし、必ず結婚する必要もないと考えるようになってきている。このような価値観の変化は、1960年代から進められた経済発展とともに起こっているが、最近そのスピードが大変早くなりつつある。
著者
須藤 護
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.77-103, 2013-03-15
著者
朴 [Hyun]国
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.43-50, 2016-03-20
著者
Wolfe Steve
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.27-35, 2011-03-10
著者
脇田 博文
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.3-10, 2013-03-15
著者
吉村 文成
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.103-121, 2008

情報化社会の進展とは、一面、情報の金銭的価値が増大し、経済全体が情報化してゆくことであろう。そんな中でおカネの重要性が増大していることは、電子マネー、携帯財布、地域通貨、マイレージなど新しいおカネないしおカネ類似物が次々に登場し、さらには、いわゆるマネー経済が世界規模で急速に拡大している現実が示す通りである。しかしながら、従来の近代経済学では、おカネは「交換の仲介物であって実物経済ではない」と位置づけられ、おカネについての考察は等閑視されてきているのが現実である。おカネは、社会的な物質循環の中枢に位置するという点で、情報をつなぐ「ことば」とともに、わたしたちの社会をつなぐ紐帯としての役割を果たしている。情報化する経済に対応するためには、おカネをその本質から捉え直すことが必要であろう。情報伝達の手段としてメディアということばが充てられるが、メディアとは、現実には、それぞれの情報を代理するさまざまな信号が乗った「乗り物」である。そして、そうした信号のなかでも圧倒的な量を占め、かつ根源的な位置にあるのは、音声信号ないしは画像信号のかたちをとった「ことば」である。本論では、それと同様に、おカネとは、物財や労働の相対的な価値を代理する「おカネ信号」が乗った、多様な「乗り物」の総称であると想定する。ここで提起したおカネ信号は、情報の分野における「ことば」に相当し、おカネはメディアに相当する。おカネ信号を想定すると、経済の領域におけるおカネの機能が、情報の領域におけることばの機能に極似していることが分かる。そのことが示すのは、情報か物財かを問わず、人々のつながりを作り出す仕組みが、基本的に、同一の原理に基づいているということである。前半でおカネやおカネ信号について考察し、後半で、そこで獲得した視点をもとに、おカネとことばの比較を試みる。
著者
須藤 護
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.61-86, 2011-03-10
著者
Furmanovsky Michael
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.45-56, 2008

1958年、占領後の日本ではじめて盛り上がった大衆文化がいわゆる「ロカビリー・ブーム」である。アメリカで一世を風靡した新しい「ロカビリー」音楽がすぐに日本にも広がり、数多くの日本の十代たちがこの音楽に強く影響され、戦後の新しい消費文化に煽られていった。東京でおこなわれた「日劇ウェスタン・カーニバル」のコンサートに集まった騒がしい「ロカビリー族」たちは、たちまち警察や当局やPTAから、少年非行につながるとして敵視されることになった。当時の過激派学生たちは、親米派の岸政権と正面から対決していたが、この学生運動と軌を一にして盛り上がったロカビリー・ブームは短命に終わったものの、60年代初頭に大衆文化産業が大いに花開く道を切り開いたのである。
著者
佐々木 英昭
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.3-13, 2008

文学的趣味の東西での「矛盾」をどう考えるかという英国留学期以来の夏目漱石の課題は、数年後の大著『文学論』において、「正典」の形成とそれへの抵抗の様相を「暗示」の戦いという図式において把握するという理論に結実している。この「暗示」概念を中核とする漱石の理論をロシア・フォルマリズムやI・A・リチャーズなどの先駆的文学理論と突き合わせ、それらに先行した『文学論』の世界史的意義を考察する。