- 著者
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中原 泉
- 出版者
- 日本歯科医史学会
- 雑誌
- 日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.3, pp.195-201, 1996-10-11
- 被引用文献数
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仏教の開祖である仏陀(ゴータマ・ブッダ)は,40歯相の持ち主であったという.果して,この40本の歯はどのように生えていたのだろうか.約2500年前に生きた仏陀の伝承に依拠して,現代の口腔解剖学から,40歯の植立状態を類推した.口腔解剖学の原則から,プラス8本の永久歯は,すべて正常数を越えて形成された過剰歯であると定義する.現代日本人における過剰歯の出現傾向と出現頻度からみて,上下顎の左右側の第1切歯4本,上下顎の左右側の第4大臼歯4本,計8本が正常形の過剰歯として歯列内に生えた,と結論した.これらの過剰歯の成因については諸説あるが,復古現象による祖先がえりとみるのが,もっとも合理的であると考える.