著者
Neuberger Bernhard 乙政 潤
出版者
京都外国語大学
雑誌
研究論叢 (ISSN:03899152)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.379-401, 2007

本稿は三つの先行する紹介, Ein kleiner Fuhrer durch die japanische Literatur der Neuzeit (1)-(2) (Brucke 1 [1998年3月刊] -Brucke 2 [1999年3月刊]), Kommentierter Uberblick zu den Werken der japanischen Literatur der Neuzeit (1)-(7)(『研究論叢』 55[2000年9月刊]-『研究論叢』61 [2003年9月刊]),およびErganzungen zum kommentierter Uberblick zu den Werken der japanischen Literatur der Neuzeit (1)-(6) (『研究論叢』62 [2004年3月刊]-『研究論叢』67 [2006年7月刊],にさらに補足を加えようとするものである。筆者たちは,本来,上記3篇の連載を通じて,原則として,明治から昭和の敗戦までのあいだの各時期の現代日本文学を代表すると見なし得る作家の主たる作品を輝介することを目指した。戦後に発表された作品のなかにもすでに古典的名声を博している作品があるにもかかわらず,それらはほとんど採り上げなかった。それらは,戦後60年の日本文学作品が専門家によって総括され整理されたときはじめて「現代日本文学紹介」の対象となりうると考えたからである。そして,続編の(6)でもって所期の目的をひとまず達したと考えたのであったが,擱筆後ふりかえり通読してみて,上記の紹介になおも洩れている作品があるのを見い出した。本稿はこれらの作品の紹介を目指して,今号を含めて前後3回にわたって筆を進めるつもりである。今号では,まずKommentierter Uberblick (1)ですでに紹介した国木田独歩に『運命論者』,『酒中日記』,『竹の木戸』,『窮死』の4篇を,田山花袋に『田舎教師』を,島崎藤村に自伝的作品である『桜の実の熟する頃』,『春』,『家』,『新生』の4篇と短編の『旧主人』,『ある女の生涯』,『三人』を,劇作家である岡本綺堂に戯曲の『修善寺物語』と『小来楢の長兵衛』の2篇を加えた。またKommentierter Uberblick (2)で取り上げた有島武郎には長編『ある女』および童話『一房の葡萄』杏,志賀直哉に短編の『小僧の神様』,『赤西蠣太』,『清兵衛と瓢箪』,『城の崎にて』を加えた。これまでの紹介では原題や作者名を漢字で記していたが,すべてローマ字表記に改めた。また,作品の題もドイツ語訳で示し,原題はあとの( )内に記した。さらにそのあとにジャンルと発表年次を記した。原題がドイツ語訳からは想像しにくいと思われる場合に限って,原題のあとの[ ]内にドイツ語の直訳を記した。なお,作品単位で紹介する形式に統一することとし,紹介順は作品の発表された年次の順(同年の場合は月順)によることにした。そのため,同一の作者の作品が必ずしも連続して紹介されない。作品の梗概紹介のあとに,作品についての短いコメントを紹介した。コメントの出典は末尾に注としてまとめた。スペースをとることを恐れ,当該作品のドイツ語訳が存在するかどうかを紹介する記事は割愛した。ドイツ語訳が存在するか否かは, 1994年までに刊行された翻訳についてはStalph, Jurgen / Giesela Ogasa / Drote Puls: Moderne japanische Literatur in deutscher Ubersetzung. Eine Bibliographic der Jahre 1868-19941によって調べるのが便利である。

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こんな論文どうですか? Erganzungen zum kommentierten Uberblick zu den Werken der japanischen ,2007 http://ci.nii.ac.jp/naid/110007326235

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