著者
北川 陽一郎 吉川 周作 獺越 君代 山崎 秀夫
出版者
日本花粉学会
雑誌
日本花粉学会会誌 (ISSN:03871851)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.15-24, 2009-06-30
被引用文献数
2

大阪城内堀から採取された近現代の堆積物試料を用いて高解像度の花粉分析を行った.堆積物中の花粉群集は大阪城周辺および大阪の山地や低地の植生を反映している.また,堆積物中の花粉量は大阪城周辺の花粉飛散量を反映している.代表的な花粉出現率と花粉量に基づいてUA-1からUA-4の4花粉帯を設定した.UA-1(江戸時代末期)は山地には低密度のマツ林が分布していた.また,低地にはムクノキーエノキ群集が分布し,花粉飛散量は少なかった.UA-2(1880年代から1940年代)はマツ林が拡大し,その結果,マツ属の花粉飛散量が増加した.UA-3(1950年代から1960年代)は山地ではマツ林が減少し,大規模なスギやヒノキの植林が行われた.その結果,マツ属の花粉飛散量が減少した.UA-4(1970年代から1990年代)はスギやヒノキの人工林が成長した.加えて,大阪城の開発が行われ,内堀周辺にニレ,ケヤキの植樹が行われた.その結果,スギ,ヒノキタイプ,ニレ属-ケヤキ属花粉の飛散量が増加した.

言及状況

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大阪城内堀の堆積物を分析する事で江戸時代末期以降の植生変遷と花粉飛散状態を考察した論文。 https://t.co/r5MXkmPD2p
こんな論文どうですか? 大阪城内堀堆積物の花粉分析から見た江戸時代末期以降における植生変遷と花粉飛散状態(北川 陽一郎ほか),2009 http://t.co/G6Uw2dZQKF
花粉分析による植生変化の推定というのは、「○万年前はこうだった」くらいのタイムスパンで行うものと思い込んでいたが、○百年前の様子を推定するのにも使うのね。「大阪城内堀堆積物の花粉分析から見た江戸時代末期以降における植生変遷と花粉飛散状態」 http://t.co/jrlw5d1x

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