- 著者
-
前川 泰之
初田 健
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.109, no.117, pp.147-152, 2009-07-01
- 参考文献数
- 7
1995〜1998年と2003〜2008年の間に、大阪電気通信大学(寝屋川市)において連続的に測定されたKu帯およびKa帯各種衛星電波の受信レベルデータを用いて、降雨減衰量のサテライトダイバーシティ効果に対して時間遅延ダイバーシティを併用した場合の時間率改善について検討を行った。方位角が互いに30°から60°程度異なる6種類の衛星伝搬路間において、累積時間率が0.1〜0.01%程度の減衰量に対する時間率改善効果は、サテライトダイバーシティ単独では数十%に止まるが、両衛星間で時間遅延ダイバーシティをさらに行うと60分程度の遅延時間で一桁を超える改善が得られることがKu帯とKa帯で同様に示された。この改善効果は伝搬路が西側の衛星の信号を遅らせる方がより効果が上がり、台風や夕立よりも寒冷前線や停滞前線による降雨でより顕著であることが分かった。Ku帯ではこの60分の遅延時間により減衰量約4dB以上で一桁を超える時間率改善が望めるが、Ka帯では減衰量約8dB以上で有効となり、それ以下の減衰量ではさらに長い遅延時間が必要であることが示された。