著者
藤原 正光 仙崎 武
出版者
日本キャリア教育学会
雑誌
キャリア教育研究 (ISSN:13433768)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-5, 1985
被引用文献数
1

本研究は、教職志望の学生が、いつ頃、どのような動機に基づいて教育学部への入学を決定し、どのような教職観を築き上げていったのかをできるだけ構造的にとらえようと試みた。調査対象は、文教大学初等教育課程に在籍する945名の学生であった。得られた結果を概略すると以下の通りである。大学への進学・教育学部への入学決定時期について、大学への進学は、半数以上が小・中学校の段階で意識決定しているが、教育学部への進学決定は、高校入学以降が7割以上を占めている。しかし、女子の方が小・中学校という早い時期に進路決定している割合が高いことは注目すべきであろう。教育学部への志望動機は、「子どもが好き」、「能力・性格に合っている」といった従来の研究結果と類似するが認められた。この結果は、教職への理解が一歩進んだ実践的な特性を重視する方向に変化してきていると解釈することができよう。教師としての資質は、得られた資料を因子分析後、直交バリマックス回転した結果、"子どもを把捉する能力″、"研究・研修能力″、"教育実践能力"と呼ぶべき3つの因子が検出された。"子どもを把握する能力"は、子どもとの対応関係における能力や態度を測っている項目であり、全体として眺めると最も重視されている教師の資質であった。ついで、授業の展開や教材研究や研修を意味する"研究・研修能力"が重視され、教育をとりまく現実的な問題を処理する"教育実践能力"は相対的に低い評価であった。しかし、学年が進むにつれて、"研究・研修能力"や"教育実践能力"が重視される傾向が高まっていることは注目に値されよう。これらの結果は、同一項目で現職教員の意識を調査した福島大学(1981)の結果とほぼ類似するものであり、学生たちがかなり早い時期から現職教員と似た意識構造を形成しているものと考えられるが新しい検討は今後の課題である。ものであったが、女子の方が、「給与の安定」、「親に勧められて」といった理由が多く認められた。森(1984)の知見から考察すると、教職志望動機は全体として眺めると内面的価値に基づくものであるが、この傾向は、男子の方がより高いといえよう。望ましい教師の特性は、「子どもと遊ぶのが好き」、「根気強く・努力家」、「冷静で公平な判断」、「指導力」を高く評価する傾向がうかがわれた。また、学年が進むにつれて「研究熱心」の特性は高く評価され、「子どもと遊ぶのが好き」の特性は低くなる傾向

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