著者
近江谷 康人 天野 英晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.413-434, 2008-02-01
被引用文献数
1

市販の高性能マイクロプロセッサを用いてバイナリー互換を実現するアーキテクチャエミュレーションは,コンピュータシステムの開発効率の向上に有効な手法である.中でもC言語実装によるインタプリタ方式は,動作原理が単純で,ホストアーキテクチャ依存度が低いなどの特徴をもち,開発費,設計品質,保守性の点で有利である。本論文は,C言語実装によるインタプリタの速度性能を,5種類のレガシー命令セット(Simplescalar PISAとその変形版, PowerPC, M32R, SH4),2種類のRISCホスト,3〜5種類の実装方式による計45種類のエミュレータ試作により評価した.この結果,高性能なマイクロプロセッサを用いC言語でインタプリタを実装すると,(1)インタプリタの共通処理部(コアループ)の処理時間の比率が70〜80%と高くコアループの試作で速度性能の目安が付くこと,(2)C言語に適合したコアループの実装(改良function方式)によりエミュレーション性能が1.3〜2.2倍までに性能向上し,アセンブリ言語記述の80%程度の性能が実現できること,が明らかになった.

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