著者
大谷 正幸
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.929-952, 2009-12-30

食行身禄(一六七一-一七三三)は富士信仰の行者である。彼は後に江戸を中心に流行した富士講において「元祖」と崇められ、現代の富士信仰研究においてもその名から「ミロク信仰」との関連が論じられた。「ミロク信仰」論は、民俗学者宮田登によって提唱され、日本の民俗事象に見られるメシアニズム・ユートピアニズムに関する理論である。確かに食行は世界を創造した神々が世界を再び支配する時代「身禄の御世」が始まったと主張しているが、それは未来に理想世界を期待する「ミロク信仰」とは相容れないものではないか。また、最近新しく発見されたある写本によると、「身禄の御世」を最初に説いたのは食行の師・月行である可能性がある。この写本を用いると、食行の主張のうち単独では理解できなかった点を解決できることがわかった。よって月行が「身禄の御世」を神より託されたと主張する写本の有用性もより高まったのである。

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@sakuya_mio524 リンク先はいずれも私のHP「富士講アーカイブ」にあるリポジトリ http://t.co/BPhdwvJJxQ においてあるものです。後者はciniiという国でやっている論文を集めたサイトにもあります(http://t.co/DTVo229TM8)。
@daizabu3 長文のお目汚し、失礼いたしました。手前味噌ですが、食行については拙稿「富士行者・食行身禄は本当に「ミロク」だったのか」http://t.co/DTVo229TM8 また拙著『富士講の祖・食行身禄伝』(岩田書院、2013)をご参照ください。
@kazu0122 正直なところ安くないので、図書館で求められるとよいでしょう。思想的なものですと、論文でよいのなら、拙稿「富士行者・食行身禄は本当に「ミロク」だったのか」(宗教研究83巻3号、2009)http://t.co/mHc0IOhGbOでしょうか。
CiNii 論文 -  富士行者・食行身禄は本当に「ミロク」だったのか http://t.co/RU2iwjU0XT
“CiNii 論文 -  富士行者・食行身禄は本当に「ミロク」だったのか” http://t.co/FxMDwEhV4Q
@kousyou 自分の書いたもので食行の思想面については、今のところ「富士行者・食行身禄は本当に「ミロク」だったのか」(『宗教研究』362、2009) http://t.co/DTVo229TM8 が最新です。手っ取り早く食行について知るにはよいかと。
もう何年も前から批判はしてるし(http://t.co/DTVo229TM8)、来月だす本でも批判はしているのだが…、研究の世界はなかなか江湖に知られていない。うーむ。
“CiNii 論文 -  富士行者・食行身禄は本当に「ミロク」だったのか” http://t.co/3Zac85DB

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