著者
宗澤 良臣 梶原 康博 大崎 紘一
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.17-28, 2007-04-15
被引用文献数
2

日本の開発製造型のものづくり体制を支援し,発展させるためには,生産現場の高度な技能を効率よく継承し,定着させるための技能者,素材,工具の動き,力関係,感覚等の分析,表示手法の開発,科学的な技能指導者の養成法,技能訓練者の訓練体制等の技能訓練システムの確立が2007年問題とも絡んで急務となっている.本論文では,技能者の技能を作業中の素材,工具,身体部位の3次元空間内での方向を,3次元座標系の3軸回転角度から分析し,表示する手法の開発を行っている。3次元空間内の位置座標を用いて動きを表現する研究は多数行われているが,さらに座標値に3軸回転角度による方向を3軸ベクトルとして加えることにより,動きを完全に表示することが可能となる.そこで,基準座標系内における部位の方向を計測するセンサー座標系の3軸回転角度からセンサー座標系の3軸単位ベクトルを回転角-回転軸変換行列から求める.そして,各軸の単位ベクトルの要素の2乗和が1となる性質を用いて2次元座標系に表現するための2次元表現グラフを提案する.2次元表現グラフでは,3次元座標系の8象限を2つの2次元座標系で示している.そして,センサー座標系の軸単位ベクトルから,設置した部位の方向を2次元表現グラフで表示することができる.そして,岡山県の伝統工芸である備中神楽面の制作作業において,技能者が工具を使って面を彫る作業を,素材,工具,上肢の部位の方向,及び相隣る部位間での軸単位ベクトルの関係から提案した分析,表示手法により,数量的な技能基準を求めることができた.

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CiNii:「技能の定量化に関する研究 : 第1報,動作部位の3軸回転角度からみた動きの分析手法」 http://t.co/7yd7BhED

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