著者
常定 和也 梶原 康博 大崎 紘一 宗澤 良臣
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.289-296, 2005-10-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
10

住宅内での人の行動を見守るために画像処理を用いて動作を分析する手法を提案する. 住宅内は時間帯, 天候による照明条件および家財道具の配置が変化することから, オプティカルフローを用いて移動物体の領域を検出する. そして, 検出された移動物体の領域から人物の領域を抽出する. 次に人物像の位置と姿勢を表す六つの特徴量を導入する. 種々の動作について特徴量を主成分分析し, 三次元固有空間に散布図で示す. 次に, 各動作の固有得点の範囲を円柱で近似して動作を認識するための判別基準とする. そして, 日常生活 (ADL: Activity of Daily Living) で現れる行動を固有空間における動作の時系列変化から判別する.
著者
後藤 正利 二神 泰基 梶原 康博 髙下 秀春
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.219-227, 2014 (Released:2018-03-12)
参考文献数
23
被引用文献数
1 3

白麹菌は,九州地方において本格焼酎製造に古から広く利用されてきた有用糸状菌=「国菌」である。しかし,白麹菌醸造特性についての分子生物学的な知見はとほとんどない。本稿では,白麹菌について最新の分子生物学的なツールを用いたゲノム解析,高頻度相同性組換え宿主の育種,マイコトキシン非生産性の要因,クエン酸高生産要因遺伝子の探索,糖質加水分解酵素の機能同定などの研究成果について解説していただいた。「白麹菌らしさ」の秘密が明らかとされつつある。
著者
滝 聖子 大崎 紘一 宗澤 良臣 梶原 康博
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.302-311, 2005-10-15
被引用文献数
2

本稿では,一般的なロボットシステムに料理を行わせるために,料理作業をロボット料理レシピとして定式化する手法を提案する.まず,人間の料理レシピの内容と料理知識からロボット化するために,ロボット料理レシピとしてまとめるために,料理作業の内容を5項目(料理作業名,食材,料理内容,料理用具等及び生じる中間食材)で示し,その内容及び条件を示した料理作業詳細表(レベル1,2,3)を作成する.レベル1では料理レシピの人間の行う料理作業を目的によって準備料理作業,主要料理作業及び完成料理作業に区分(以下,料理区分作業という)に分類する.レベル2では料理区分作業をロボットが単一の食材,料理用具・食事用具・厨房器具に対して行う作業,及び,ロボットを使用せず厨房器具・料理容器によって単一の食材を変化させる作業(ロボット料理作業)に,レベル3ではロボット料理作業をセンサで状態を見ながらロボットに行わせる動作(ロボット料理動作),さらにロボットの行うロボット動作とセンサの行う感覚動作に展開して料理作業詳細表を作成することにより,ロボット料理レシピを作成する.そして,著者らの開発した料理ロボットシステムで,提案したロボット料理レシピを用いて実際に料理を作ることでその妥当性を示した.
著者
宗澤 良臣 大崎 紘一 梶原 康博 巽 雅彦
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.36-45, 2003-04-15

本研究では, 廃家電品の回収方法として, 家庭において分解, 分別を行い部品, ユニット毎に排出する分散分解を提案する.分散分解により, 集積場所には鉄, 銅, アルミニウムを多く含むグループに分別された部品等が集積されるため, 以降のリサイクルセンタで行われる分解, 分別の作業量の低減が可能となる.このことを説明するために, 廃家電品の排出以降の流れについて, 現在の回収方法と分散分解についてモデル化を行う.さらに, 家庭における分解, 分別を効率的に行うため, 部品に分解グループ, 分解箇所の表示を行うなどする分解ガイドラインを提案する.適用例では, 岡山市が平成13年4月から10月に戸別回収により回収した廃棄物一覧を基に従来の回収方法と分散分解を行った場合の作業量の比較を行った.その結果, 我々の試算では, 従来の回収ではリサイクルセンタにおいて9,238作業発生するのに対して, 提案法では廃家電品を排出する298家庭が30作業を分担すればリサイクルセンタでの分解, 分別はなくなった.また, 分解ガイドラインの情報の違いによる作業量の変化, 分別の誤りを実験により調べた.
著者
岩本 英久 梶原 康博 滝 聖子 関 洲二
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.208-217, 2007-08-15

技能の伝承や保存のために,技能者の動作をモデル化し,その動作の特徴を明らかにすることは重要なことである.本研究では,技能者による動作のモデルとして,技能伝承訓練段階であっても,患者の生命に危険を与えてはならない外科手術における運針動作を対象にする.運針動作のモデル化は,外科医の運針軌跡を4種類のパターンに設定し,ロボットで再現することによって行う.運針動作の特徴は,縫合針の軌道と運針後の軌跡を比較するとともに,持針器に加わる回転トルクを測定して考察する.その結果,縫合針円に沿った運針パターンは,軌道と軌跡の差および回転トルクを最小にできることが示された.実際の手術現場では,縫合針円よりも深い運針を行っているので,縫合針円より深く補正する運針パターンの中で比較すると,縫合長さの中央で深く補正する運針パターンが軌道と軌跡の差が小さく,回転トルクの小さい運針であった.
著者
宗澤 良臣 梶原 康博 大崎 紘一
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.17-28, 2007-04-15
被引用文献数
2

日本の開発製造型のものづくり体制を支援し,発展させるためには,生産現場の高度な技能を効率よく継承し,定着させるための技能者,素材,工具の動き,力関係,感覚等の分析,表示手法の開発,科学的な技能指導者の養成法,技能訓練者の訓練体制等の技能訓練システムの確立が2007年問題とも絡んで急務となっている.本論文では,技能者の技能を作業中の素材,工具,身体部位の3次元空間内での方向を,3次元座標系の3軸回転角度から分析し,表示する手法の開発を行っている。3次元空間内の位置座標を用いて動きを表現する研究は多数行われているが,さらに座標値に3軸回転角度による方向を3軸ベクトルとして加えることにより,動きを完全に表示することが可能となる.そこで,基準座標系内における部位の方向を計測するセンサー座標系の3軸回転角度からセンサー座標系の3軸単位ベクトルを回転角-回転軸変換行列から求める.そして,各軸の単位ベクトルの要素の2乗和が1となる性質を用いて2次元座標系に表現するための2次元表現グラフを提案する.2次元表現グラフでは,3次元座標系の8象限を2つの2次元座標系で示している.そして,センサー座標系の軸単位ベクトルから,設置した部位の方向を2次元表現グラフで表示することができる.そして,岡山県の伝統工芸である備中神楽面の制作作業において,技能者が工具を使って面を彫る作業を,素材,工具,上肢の部位の方向,及び相隣る部位間での軸単位ベクトルの関係から提案した分析,表示手法により,数量的な技能基準を求めることができた.
著者
森 李 梶原 康博 大崎 紘 宗澤 良臣
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.37-45, 2001-04-15
被引用文献数
1

省人化工場内の安全確保のためにモニター画面上の画像から作業員を識別するための模様の認識, 姿勢の認識, および作業員が危険の程度を知らせるための画像処理による判別の容易な合図動作とその認識手法を提案する, まず, 省人化工場の出入口において入退室する作業員を認識するために, 作業着に付ける模様を提案し, 画像処理により模様を識別するための特徴量および判別規準を設定する.次に, 作業域内の作業員および搬送車等の対象物を差分処理により検出し, 移動または静止状態であるかを面積の変化率から, 作業員または他の設備であるかを領域の複雑度から判別する.作業員が静止している場合には, 姿勢および合図を認識する.姿勢は立位, 座位および臥位姿勢について, モニター画面上での作業員の外接長方形および面積に基づく特徴量を定義し, その判別規準を設定する.作業員からの合図としで"停止せよ", "危険", "助けを求む", "作業完了またはOK"等を画像処理による認識の容易な動作で表現し, その認識を行う方法を提案する.