著者
若井 勲夫
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.286-264, 2010-03

本誌第四十号(平成二十一年三月)でわらべ歌の二編(「かごめかごめ」「通りゃんせ」)を取上げ、国語学・国文学の研究に基づき、起源の形から歌詞が変化していく過程を跡づけながら、歌詞の言葉と表現を言語主体の意識や感覚を中心に精しく分析し、一語、一句ごとに解釈を施し、主題を明らかにした。本稿はこれに引続いて、わらべ歌の「ずいずいずっころばし」を考究する。 この歌は江戸時代の文献には見られず、明治十六年の綿絵風のおもちゃ絵が初出であり、二、三十年の歌謡集に見られる。内容については従来、意味がはっきりせず、明確な説明がされなかった。通説としては江戸時代のお茶壷道中によるとされるが、これには何の根拠もなく、歌詞の一部をそのように考えれば、その歌の部分的な解釈ができるという程度に過ぎない。この他に、意味不明説、不可解な点に意味を認める説、また、解釈そのものを否定する説などがあり、それ以上に進まなかった。その後、近世近代の歌謡研究家の西沢爽氏が「ずっころばし」と「胡麻味噌」を近世語からの転訛として解釈を試み、大体の全体像が初めて明らかになった。 本稿はこの西沢説によりながら、近世語の用例や関連語を挙げて右の二語の語釈を補い、「抜けたら」その他について新しい解釈を提示し、全体の展開と構成を矛盾することなく、整合的に明らかにし得た。さらに、元の歌詞が転訛していく過程を追い、異なった語句の解釈から逆に元歌の語釈を究め、また、多くの類歌の表現を分析し、そこに共通する意味や言語主体の発想と意識を探り、この歌を初めて総合的に解明することができた。研究の態度としては、先入観にとらわれず、独断やこじつけに陥らず、また、興味本位や卑俗に流れず、あくまで学問的に語釈、評釈し、考証することを心懸けた。わらべ歌は子供の素朴、純真な童心だけを歌うものではなく、特に意識しなくても、その底には善悪、明暗、清濁の入り混った心を表すものである。

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