著者
砂田 寛司 堀越 哲郎 榊原 学
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.65-75, 2009-03-31

これまでの研究でヨーロッパモノアラガイの成体(殻長21 〜 26 mm)を用い,嫌気状態下での呼吸行動を1回のKCl 提示により減少させるone-trial conditioning を行うことにより長期記憶が形成されることと,オペラント条件づけにおいて,モノアラガイの捕食者であるザリガニの溶出物(crayfish effluent: CE)を含むザリガニ飼育水中で,条件づけを行うと,pond water(PW)下でトレーニングを行ったときと比較し,長期記憶の保持時間が延長されることが報告されている(Lukowiak et al., 2008).本研究ではCE 環境のone-trial conditioning に対する長期記憶の形成と,延長の効果を成長段階で呼吸様式の変化がある幼生(殻長12 〜 16 mm)と成体に分けて検討した.長期記憶の形成に伴う電気生理学的な活動の変化を,呼吸行動の中枢リズム発生器(CPG)であるRPeD1 と,RPeD1 を抑制的にシナプス結合する殻引込みの介在ニューロンRPeD11 から記録した.その結果,幼生においてPW 環境でトレーニングしても長期記憶は形成されないが,CE 曝露後に行うトレーニングにより長期記憶が形成された.また成体ではCE 曝露後のトレーニングでは長期記憶の保持時間は延長した.またRPeD1 で見られる電気生理学的な活動の減弱は,少なくともRPeD11 がもたらす興奮性増大の影響を受けていることが示唆された.

言及状況

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他の方の回答でほぼ尽くされていると思いますが, 私なりに解説を。 オペラント条件づけの身近な例は動物に芸を仕込む訓練です。 たとえば「お座り」という声かけに対して 犬がお座りの姿勢を取ったなら,直後に餌を与える。 これを繰り返すと「お座り」の声かけに対して お座りの姿勢を取る確率が高くなっていきます。 このようにオペラント行動に後続する刺激変化によって 同じオペラント行動が ...

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