著者
前迫 ゆり
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学人間環境論集 (ISSN:13472135)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.79-96, 2010-03

世界文化遺産であり,国の特別天然記念物にも指定されている春日山原始林において,哺乳類と鳥類の多様性と森林利用に関する基礎情報を得るため,2007年10月から2008年9月までの1年間,10台の自動撮影装置によって,小型〜中大型哺乳類相および鳥類相の調査を実施した。その結果,9種の小型〜中大型哺乳類と5種の鳥類が確認された。撮影頻度が高い順に,哺乳類ではニホンジカ,イノシシ,タヌキ,テン,チョウセンイタチ,アカネズミ,ムササビ,アナグマそしてニホンノウサギが記録された。なかでも1位のニホンジカの撮影頻度の割合はきわめて高い値(83.5%)を示し,ついでイノシシ(7.2%)の順であった。国内外来種であるナギを含む群落ではシカの撮影頻度が低い傾向がみられた。鳥類では,シジュウカラ,ルリビタキ,ヒヨドリ,ヤマガラ,フクロウなどが撮影された。1478カメラ日(延べカメラ稼働日数)に撮影された資料から,照葉樹林が冬期においても哺乳類と鳥類の重要な生息場所として機能しており,哺乳類や鳥類の多様性は,森林の林冠状態や人間の干渉度などによって変動することが示唆された。

言及状況

Twitter (4 users, 4 posts, 1 favorites)

CiNii 論文 -  カメラトラップ法による春日山照葉樹林の哺乳類と鳥類 https://t.co/8Ys46xYqvq #CiNii #動物
.@narapress ありがとうございます。その本は知っています。昨日のツイートでも少し触れましたが、同じ先生の論文がこちらでも読めますね。→ カメラトラップ法による春日山照葉樹林の哺乳類と鳥類 http://t.co/w6wiy4gnc9 @kimi5924
カメラトラップは個人的にもやりたいのだが(業務上は経験あり)、市街地では破損や盗難の危険があり、誘因用餌にも苦情が出そうで実施に踏み切れない。「カメラトラップ法による春日山照葉樹林の哺乳類と鳥類」http://t.co/Y2p3YOSh アオバトが写っているのは初めて見ました。

収集済み URL リスト