本稿では,現代における科学者の社会的責任について考える.責任を呼応可能性,応答可能性という意味で捉え直して再整理すると,現代の科学者の社会的責任は,(1)科学者共同体内部を律する責任(Responsible Conduct of Research),(2)知的生産物に対する責任(Responsible Products),(3)市民からの問いへの呼応責任(Response-ability to Public Inquiries)の3つに大きく分けられることが示唆される.この3つの区分を,ジャーナル共同体(専門誌共同体)との関係を用いながら考察し,最後にカテゴリー間の葛藤について考える.