著者
小田切 陽一 内田 博之 市川 敏美 近藤 直司
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学看護学部紀要 (ISSN:18806783)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-8, 2010

山梨県の自殺率と既存統計を用いた生態学的分析から自殺との関連が示唆される人口学的、社会学的要因の抽出をおこなった。その結果、人口世帯要因では、老年人口割合、単身高齢者割合、死別高齢者割合が正の相関、平均世帯人員が負の相関を示した。産業・経済要因では、管理的職業従事者割合、生活保護率と正の相関、課税対象所得と負の相関を認めた。医療・福祉要因では、腎不全死亡率、老人クラブ加入率と正の相関、精神作用物質による精神・行動の障害による受療率と負の相関を認めた。また神経症障害、ストレス関連障害および身体表現性障害の受療率と正の相関傾向、気分障害 (躁うつ病を含む)、その他の精神および行動の障害による受療率、精神保健福祉相談 (心の健康づくり相談) 件数と負の相関傾向を認めた。本研究の結果、山梨県の自殺率に関連する要因として、人口の高齢化や脆弱な経済基盤、精神障害に関わる相談や受療行動が低いことなどが示唆された。

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