著者
谷田 親彦 上田 邦夫
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.37-44, 2001
被引用文献数
1

本研究の目的は,「ものづくり学習」に取り組む学習者が製作活動に入る前に製作課題に対して考えること(思考)をプロトコル分析を利用して把握することにある。ものづくり経験を有する大学生(21〜23才)から発話を収集したプロトコルデータは,ISM構造法を援用して作成した「ものづくり学習」の教材構造に基づいたカテゴリーにより分類された。その結果,製作計画や構想図,工具の使用やその仕上がりの結果に関する思考が多く行われていた。製作過程の中では,「組立・接合」段階での思考が極めて活発に行われていた。「けがき」や「切断」など製作過程の始めでは構想・設計に関連する思考が表出し,「仕上げ・塗装」など製作過程の終盤では製作品完成後の使い方などに関する思考が活性化されていることがわかった。また,思考シークエンスは,「工具・機器の使用」カテゴリーを思考の起点や終点にする2つのタイプが多く現れた。

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