著者
足立 泰彦 山下 幸二 藤井 崇史 上田 邦夫
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.101-106, 2007-12-01 (Released:2014-11-01)

本研究は,情報教育を学習する生徒のコンピュータに対する自己効力(Computer Self-Efficacy(CSE))に着目して,情報通信技術(Information & Communication Technology(ICT))に対する意識を捉えることを目的としたものである。ICTに対する意識を測定するため,先行研究で成人向けに用いられたCSEに関連する調査項目を収集して作成した調査票で調査を行ない,項目分析の結果残された31項目に対して因子分析を行なった。その結果,「初歩的CSE」,「発展的CSE」,「ICT不安」及び「ICT態度」の四つの因子が抽出された。また,これらの因子をもとに,学習者の意識構造のモデル化を行ない,因子相互の影響についての分析を行なった結果,「CSE」が「ICT不安」を減少させ,「ICT不安」の減少が「ICTへの積極的態度」を促進させる構造を持つことがわかった。
著者
谷田 親彦 上田 邦夫
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.37-44, 2001
被引用文献数
1

本研究の目的は,「ものづくり学習」に取り組む学習者が製作活動に入る前に製作課題に対して考えること(思考)をプロトコル分析を利用して把握することにある。ものづくり経験を有する大学生(21〜23才)から発話を収集したプロトコルデータは,ISM構造法を援用して作成した「ものづくり学習」の教材構造に基づいたカテゴリーにより分類された。その結果,製作計画や構想図,工具の使用やその仕上がりの結果に関する思考が多く行われていた。製作過程の中では,「組立・接合」段階での思考が極めて活発に行われていた。「けがき」や「切断」など製作過程の始めでは構想・設計に関連する思考が表出し,「仕上げ・塗装」など製作過程の終盤では製作品完成後の使い方などに関する思考が活性化されていることがわかった。また,思考シークエンスは,「工具・機器の使用」カテゴリーを思考の起点や終点にする2つのタイプが多く現れた。
著者
足立 泰彦 山下 幸二 沖林 洋平 巖淵 守 上田 邦夫
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.64-69, 2008-06-01 (Released:2014-11-01)

本研究は,プログラミング用フリーソフト「Squeak Toys」によるプログラミング学習における思考過程の構造を分析することを目的としたものである。プログラミング時の思考要因を特定するため,プロトコル分析に基づき21項目の調査票を作成し,プログラミング後の高校生に調査票を回答させ因子分析を行った。その結果,プログラミング時の思考内容要因として,「評価点検」「目的遂行」「課題分解」「空間意識」の4つの因子を抽出し,思考のプロセスは次の3つの関係がみられた。(1)「目的遂行」と「課題分解」はお互いに影響しあっている。(2)「目的遂行」と「評価点検」はお互いに影響しあっている。(3)「空間意識」は「目的遂行」と「評価点検」に補完的に作用している。さらに,性格との関連性を調査したところ,「知性」「勤勉性」「外向性」の3特性は思考要因との相関がみられ,そのうち「知性」因子は「課題分解」要因に,「勤勉性」因子は「空間意識」要因に影響を及ぼすことがわかった。