著者
竹野 英敏 谷田 親彦 紅林 秀治 上野 耕史
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.147-155, 2011

本研究では,教員養成課程におけるICT活用指導力の組織的な向上を図るための基礎的知見を得ることを目的とした.ICT活用指導力の18項目と,PCやインターネットの使用経験や形態を質問項目とした調査を実施し,教育学部に所属する1219名の大学生から有効回答を得ることができた.その結果,教育学部生のICT活用指導力は,授業の展開・評価,態度の涵養及び校務処理に関する面において低調であることが示された.また,ICT活用指導力の向上には,PCに対する興味・関心,自由に利活用できるPCの所有,様々な目的や方法によるPCの利用・活用などの要因が結びついていると推察された.さらに,ICT活用指導力には,メールや表計算などのPC使用形態や,HP作成などのインターネット使用形態が影響しているのではないかと考えられ,これらの学習活動や利用形態を経験させることによってICT活用指導力の充実を図ることができるのではないかと思われた.
著者
谷田 親彦 上田 邦夫
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.37-44, 2001
被引用文献数
1

本研究の目的は,「ものづくり学習」に取り組む学習者が製作活動に入る前に製作課題に対して考えること(思考)をプロトコル分析を利用して把握することにある。ものづくり経験を有する大学生(21〜23才)から発話を収集したプロトコルデータは,ISM構造法を援用して作成した「ものづくり学習」の教材構造に基づいたカテゴリーにより分類された。その結果,製作計画や構想図,工具の使用やその仕上がりの結果に関する思考が多く行われていた。製作過程の中では,「組立・接合」段階での思考が極めて活発に行われていた。「けがき」や「切断」など製作過程の始めでは構想・設計に関連する思考が表出し,「仕上げ・塗装」など製作過程の終盤では製作品完成後の使い方などに関する思考が活性化されていることがわかった。また,思考シークエンスは,「工具・機器の使用」カテゴリーを思考の起点や終点にする2つのタイプが多く現れた。