- 著者
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山田 弘明
- 出版者
- 名古屋文理大学
- 雑誌
- 名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, pp.35-46, 2011-03-31
「某氏からデカルトへ パリ1641年7月」という差出人不明のラテン語書簡が存在する.長文であり,その内容はデカルトの「第五答弁」に対してガッサンディ主義の立場から細かな点を再反論する,という重いものとなっている.当初,デカルトはこれに答弁を付して『省察』の「反論と答弁」の最終章にしようと考えていたほどである.本稿では,その主要な論点を明らかにしつつ,全訳を試みる.