- 著者
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柿本 昭人
- 出版者
- 同志社大学
- 雑誌
- 同志社政策研究 (ISSN:18818625)
- 巻号頁・発行日
- no.5, pp.20-38, 2011-03
論説近代ヨーロッパは、古代ギリシアを再発見し、民主主義の源流としてアテネを参照してきた。大人=市民として登録されるには、父と、母の父が市民であり、試練と待機の期間を経なければならなかった。そして市民同士が平等な者として議論に参加できるのは、ただ一人の母=大地から生まれたという神話に基づく「生まれの平等」があったからである。安定した大人/子供関係を裏面から支えていたのは、大人になることのない奴隷と女性の存在であった。