著者
菊地 章太
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.910-928, 2011

明治二十年(一八八七)に私立哲学館を創立した井上円了は、諸学の根拠を哲学に求めた。仏教が時代に取り残されようとした時代である。真宗寺院に生まれ育った円了は、仏教を哲学として理解しようとつとめ、仏教の語彙ではなく日常の語彙によって仏教を語ろうとした。いずれも前代未聞の試みである。みずからの思索にもとづく仏教理解という方向から、さらに進んで寺院や既成教団から独立した信仰と実践の可能性を切り開こうとした。教団に属さない宗教実践があり得るか。これが近代化の怒濤のなかで仏教存続の方向を模索した円了が導き出した問いであった。寺院なくして信仰は成り立つか。個人でも信仰をもつことができるのか。今ならば問うまでもないこの間いが、明治も終盤をむかえる時代の宗教者にとって抜きさしならない課題となったのである。

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CiNii 論文 -  寺院なくして信仰は成り立つか : 哲学者井上円了の挑戦(アジアの近代化と宗教,<特集>第六十九回学術大会紀要) https://t.co/qrABxNIULT
「迷信にまみれた妖怪の招待をあばいていく.これが円了妖怪学の目標とするところである」「柳田は『迷信』とは言わない.『民間信仰』という言葉を使う.人々が溶解を信じて恐れるという思いを切り捨てるのではなくなぜそんなものを信じたのかを考える」http://t.co/2o0E6JhKUO
「迷信にまみれた妖怪の招待をあばいていく.これが円了妖怪学の目標とするところである」「柳田は『迷信』とは言わない.『民間信仰』という言葉を使う.人々が溶解を信じて恐れるという思いを切り捨てるのではなくなぜそんなものを信じたのかを考える」http://t.co/2o0E6JhKUO

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