- 著者
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高 博昭
上原 秀幸
大平 孝
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.110, no.378, pp.153-158, 2011-01-13
センサネットワークでは,センサノードの消費電力削減が重要な研究課題のひとつである.省電力化を実現するひとつのアプローチとして,クラスタリングや送信データサイズを削減するデータ集約が挙げられる.しかし,既存研究では具体的な集約のアルゴリズムについては未考慮,計算能力に制限のあるセンサノードでは実現が困難,完全集約を想定しているなどの問題点が挙げられる.本稿では様々な実環境のデータに対し情報理論的解析を施し,センサノードの増加に伴うエントロピー増加率とノード数の関係を示す集約モデルの導出を行う.これにより,集約として情報源符号化を想定したときの集約効果についての定式化を行う.次に集約モデルに基づくクラスタリングを想定した間欠送信手法を提案する.これは各クラスタ内の集約モデルとノード数の関係から,しきい値に基づきクラスタメンバのデータ送信を確率的に行うことで送信回数を削減し,省電力化を図る手法である.間欠送信手法を既存クラスタリング手法であるLEACHやCLARAに適用した場合についてシミュレーションを行った結果,間欠送信なしの場合と比較してLEACHの場合で最大59%,CLARAの場合で最大29%の送信回数削減を実現した.