著者
田舎片 健太 森下 博和 長名 保範 藤田 直行 天野 英晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.361, pp.205-210, 2011-01-10
参考文献数
17

近年,物理学,化学,経済学といった種々の分野で科学技術計算が用いられている.その計算には,通常多くの浮動小数点演算が含まれており,汎用CPUでは実行効率が悪く,専用計算機上で実行されることが多い.アクセラレータとして使用されるデバイスは様々であるが,FPGAというリコンフィギャラブルデバイスは,微細化による組込み素子の増大に伴い,比較的安価である点,柔軟なメモリアクセスを実現できる点から広く利用されてきた.しかし,FPGA上にアプリケーションを実装することは,アルゴリズムといった理論の研究者にとっては困難であるという問題がある.そこで,本研究では,ALUアレイを構成し,それを利用してストリーム処理を行うことができるシステムを提案,設計する.これにより,ALUへの命令とALU間の接続情報及び演算データを用意することで,ハードウェア上での実行が可能となることを目的とした.また,専用計算機上で実行した場合の性能の目安となることも同様に目的とした.MUSCLという計算流体力学のアプリケーションを用いて評価した結果,演算部分の性能は2.4GHzのIntel Core 2Duo上での実行に対して,約4.1倍が期待できることがわかった.また,パイプライン利用率が専用計算機との比較において大きな割合を占めることがわかった.

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