- 著者
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大野木 裕明
- 出版者
- 仁愛大学
- 雑誌
- 仁愛大学研究紀要. 人間生活学部篇 (ISSN:21853363)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, pp.53-61, 2009-12-30
- 被引用文献数
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親子間の心理的離乳に関して2つの研究を行った.研究1では親子間の心理的離乳と心理的距離の定義・測定方法を文献的に検討し次の結果を得た.1)心理的離乳と心理的距離は非常に似た概念として扱われ概念上の区別を明確にした研究は見出されなかった.2)心理的離乳の過程のうち自立や尊敬・軽蔑といった心理面を心理的距離の語によって表現する研究がいくつか見出された.研究2では女子青年301名に対して質問紙調査を実施し次のような結果を得た.3)親子間の呼称変化の時期は中学生かあるいは変化しないという2極化傾向にあった.4)呼称変化に関する自由記述から反抗期,お互いの照れ,対等の大人,他者の目・暗黙の圧力・世間体,気分・対人的スキル,間合い・距離感の6つの呼称変化の理由が得られた.5)心理的離乳に関する自由記述には,好意,嫌悪,親密,疎遠,尊敬,軽蔑,既知,未知,関心,無関心,依存,独立,信頼,不信などの語が多く書かれていた.これにより,西平(1990),落合(1995)らの心理学的離乳の仮説が,本調査の回答者の素朴な記述と概ね矛盾しないことが確認された.6)時間的距離(時間間隔),空間的距離,心理的距離の3側面について親子の距離感を5件法で尋ねたところ,3つの距離間には有意な正の相関が得られた.また,3つの距離得点ともに,父親よりも母親に対する距離の方が有意に近かった.