著者
鳥海 不二夫 山本 仁志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2507-2515, 2012-11-15
被引用文献数
1

近年,ソーシャルメディアの発達が目覚しく,FacebookやTwitterなど数多くのソーシャルメディアがWeb上で運営され,多くのユーザによって利用されている.ソーシャルメディアへの記事投稿にはコストが必要であるにもかかわらず,自発的に記事が投稿されるメカニズムは明らかとなっていない.ここで,ソーシャルメディアの基本的な仕組みは,多数の情報がコストをかけて投稿され誰もがアクセスし利用することができることから,公共財としての性質を持っているといえる.公共財への貢献を促進する仕組みとしては,協調しない者に対し罰則を与える規範ゲーム・メタ規範ゲームが提案されている.しかし,ソーシャルメディア上では非参加者を罰するということは不可能である.そこで,懲罰ではなく協調者にたいして報酬を与えるという方法を取ることが考えられる.一方で,報酬よりも懲罰のほうが効果的であるという報告があり,通常の条件下ではソーシャルメディアでは協調は進化しないと考えられる.そこで本研究では,報酬しか与えられない公共財ゲームであるソーシャルメディア上で,どのような条件が整った時に協調が促進されるのかを,エージェントシミュレーションによって明らかにする.In this paper, we propose the General public goods game to represents human behaviors on the social media. The structures of social media are modeled to clarify the mechanism to participate to social media. We developed a simulation model to clarify the mechanism to participate to social media. In general, there are no systems to punish other users in social media. Instead, there are some systems to rewards other users by comments or replies for communication behaviors. We modeled such reward model by General public goods game to clarify the conditions to realize cooperation dominants situation. From agent-based simulation, it becomes clear that the rewards for the cooperation and the rewards for the rewards can be the factor to encourage the cooperation. Furthermore, we analyzed the relationships between costs and the benefits to encourage the cooperation. From the analysis, the cooperation behaviors become dominant in the case that the benefits for the cooperation and rewards are larger than the cost to reward other users.

言及状況

Twitter (4 users, 4 posts, 5 favorites)

ソーシャルメディア上では非参加者を罰することは不可能。そこで、懲罰ではなく協調者にたいして報酬を与えることが考えられる。一方、報酬よりも懲罰のほうが効果的という報告も。ゆえに、通常の条件下ではソーシャルメディアで協調は進化しない。http://t.co/15AaI7BNPp

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