著者
田中 真理 長阪 朱美
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.108-121, 2009-08-31

本研究では,なぜライティング評価の一致が難しいのか,その原因について検討する.ライティング・パフォーマンス・テストは真正性は高いが,人間が介在するアセスメントである.主観的になりうる評価の信頼性確保のためには,評価基準の共有と評価者のトレーニングが必要だとされている.田中ほか(2009)では,第二言語としての日本語ライティング評価のためのマルチプル・トレイト評価表を開発し,その講習会を実施した.その後,講習会に参加した8名の日本語教師に2種類各26編の小論文を評価してもらった.その結果,評価の内的一貫性はあったが,個々の小論文では,評価が一致している小論文もある一方で,ずれの大きな小論文も認められた.そこで,原因を探るために,評価者を対象にアンケート調査と評価者間ミーティングを行った.本稿では,そこから得られた示唆をもとに,ライティング評価の不一致の原因について,トレイト,プロンプト,レベル,ライティングの潜在能力,評価者の個人的要因の観点から分析する.本研究において,真正性は高くとも,人間によるパフォーマンス評価には限界のあることが示唆されたが,評価基準の改善,評価プロセスの分析,評価者間ミーティングの活用等によって,ライティング評価一致の難しさの問題は解決できるものと考える.

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ライティング評価の一致はなぜ難しいか : 人間の介在するアセスメント http://t.co/T8uGS8zk16
田中真理・長阪朱美(2009)「ライティング評価の一致はなぜ難しいか —人間の介在するアセスメント」『社会言語科学』12(1), 108-119. http://t.co/C5otSS1LoL

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