著者
谷出 千代子
出版者
仁愛大学
雑誌
仁愛大学研究紀要. 人間生活学部篇 (ISSN:21853363)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.78-86, 2013-03-31

イソップ寓話「蟻と蟬の事」,または「蟻と螽蟖の事」など底本とする原話によって表記やプロットの展開が異なるこれらの話は,日本に最も早く入ってきた外国の物語である. そこで,天草本,古活字本,影印本などと称される底本としてのイソップ寓話の特色がどのように時代と共に流布し人々に扱われてきたか,さらには読者層の相違によって翻訳者はいかに翻刻を重ねたか,翻訳のもつ役割を吟味してきたかなど,文章表現と絵画描写(挿絵)を通して,入手,管見の可能となった明治期,大正期発刊本に限って分析検証してきた. 結果として,翻刻や翻訳にこだわりを持ち,用語使用に対しても厳しい態度で臨んでいると思われる物語に向き合うことができた.文化的には日本という国柄の精神性を重視し,大和魂に固守する余り,今日的時代性から判断すると,諧謔的な想像性と創造性に拘りと時代性を受容できた検証であった.

言及状況

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イソップ物語「アリとキリギリス」について調べている。 『イソホ物語』(岩波日本古典文学大系90)や、『イソップ物語』(偕成社文庫)などでは、働かなかったためだ・自業自得だ、という教訓めいたものを述べるまでで終わっているが、近年、絵本の「アリとキリギリス」では、困っているキリギリスをアリが助けてあげる、キリギリスが歌を歌って楽しく過ごす、という結末になっているものがあるようだ。 (1)キリギリスが困 ...

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