著者
呉 宣児 竹尾 和子 片 成男 高橋 登 山本 登志哉 サトウ タツヤ
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.415-427, 2012

本稿では,日本・韓国・中国・ベトナムの子ども達のお金・お小遣いをめぐる生活世界を捉える。経済的な豊かさの異なる状況のなかでの.子ども達の消費生活の広がり,お金使用における善悪の判断・許容度の判断,お金をめぐる友だち関係や親子関係の認識などを明らかにし,子ども達の生活世界の豊かさと貧しさという視点から考察を行うことが本研究の目的である。4か国で,小学校5年生,中学校2年生,高校2年生を対象とする質問紙調査を行い,また家庭訪問による小・中・高校生にインタビュー調査も行った。分析の結果,国の一人当たりのGDPの順である日韓中越の順に子どもの消費の領域が広がっていること,友だち同士のおごり・貸し借りに関しては日本が最も否定的に捉える傾向があり,韓国やベトナムでは肯定的に捉える傾向があること,日本の子どもは自分が手にしたお小遣いは自分のお金であるという認識が強く,反対にベトナムは自分のお金も親のお金という認識が強いことが明らかになった。これらの結果の特徴をもとに,それぞれの社会における「個立型」,「共立型」という視点から生活世界の豊かさについて考察を行った。

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