- 著者
-
緑川 信之
- 出版者
- 日本図書館情報学会
- 雑誌
- 日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.1, pp.17-31, 2013-03-31
現在のファセット概念の広がりとその要因を探るために,ファセット概念の形成期(19世紀第4四半期から20世紀前半まで)に作成された主要な分類法を調査した。検討した分類法は以下の3種類である;(1)ファセットという用語が初めて導入されたColon Classification(CC),(2)記号が独立要素から成る分類法であるUniversal Decimal Classification(UDC)とBibliographic Classification(BC),(3)単一要素から成る分類法であるDewey Decimal Classification(DDC)とExpansive Classification(EC)。その結果,ある区分特性に基づく区分肢の総体という意味でのファセット概念は,すでにDDCの初期の版から使われていたことを確認した。また,このもともとのファセット概念が,後に,独立した構成要素をもつ記号法,合成,中間見出し,という様々な意味をもつ概念に拡張されていく要因も,CC第3版までに出そろっていたことを明らかにした。