著者
桑原 一歌
出版者
同志社大学
雑誌
同志社国文学 (ISSN:03898717)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.1-13, 2011-12

『枕草子』「五月ばかり、月もなういと暗きに」段では、当意即妙の応答に成功したかに見える清少納言が、竹の異名「この君」を知らなかったと言い続ける様が描かれる。「この君」の元となった王徽之による「此君」の故事には、俗物への皮肉が込められていた。知的な応答を試みるあまり故事の世界に肉薄しすぎた清少納言が、貴族の美意識から逸脱することを懸念しつつ描き出したのが当章段であると考え、かなの散文作品による表現方法として位置づけた。

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だからこそ、枕草子で奥歯に物の挟まったような記述になったのではないか、という、大変面白い論考(桑原一歌さんの「『枕草子』における「此君」の享受 : 竹に呼びかける意義」https://t.co/r5td9bTot4)を読みました。

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