- 著者
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小川 正人
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育学会
- 雑誌
- 教育学研究 (ISSN:03873161)
- 巻号頁・発行日
- vol.80, no.3, pp.309-321, 2013
本論文は、1875年に北海道に強制的に移住させられた樺太アイヌの児童を対象として設置された小学校「対雁学校」の歴史を検討したものである。先ず同校の設立・維持に関する行政の施策をあとづけ、学校設置当初のごく一時期を除けば、行政は樺太アイヌの教育に積極的ではなかったことを明らかにした。また、児童の就学状況を捉え直すことを通して、樺太アイヌは、それまでの生活基盤から切り離された暮らしを強いられた中での余儀の無い選択として、子どもに教育を受けさせることを強く求めていたと考えられることを指摘した。樺太アイヌは、自分たちの暮らしを築くこと、そのための子どもの教育の機会と場を求めたのであり、行政がそれに応えなかったのである。