- 著者
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佐川 早季子
- 出版者
- 日本保育学会
- 雑誌
- 保育学研究 (ISSN:13409808)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.2, pp.163-175, 2013-12-25
本研究は,幼児の共同的造形遊びにおけるモチーフ生成のプロセスを明らかにすることを目的とする。幼稚園の4・5歳児クラスを半年間参与観察し,幼児がモチーフを生み出すプロセスを,言語的・非言語的やりとりの両面に着目して分析した。注視方向に着目した分析から,幼児が遊び相手の制作物を注視して制作方法に関する情報を取得し自分のモチーフをつくり出す過程で,注意がいったん造形遊びから逸脱する行動が見られた。これは,他児のアイデアを自分のものに変えるために必要な過程であることが示唆される。そして,交互に行われるモチーフの言語化が造形遊びに新しいアイデアをもたらす提案となり,造形遊びを協働的かつ即興的に展開させていた。