著者
安藤 潤
出版者
新潟国際情報大学
雑誌
新潟国際情報大学情報文化学部紀要 (ISSN:1343490X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.21-32, 2013-04

本論文は、共稼ぎ夫婦の間で家事労働時間分担に関するジェンダー・ディスプレイが発生しているのかを実証的に検証した。通常、このジェンダー・ディスプレイの実証分析は個票データを用いた多変量解析によって行われるのに対し、本論文は、まずジェンダー・ディスプレイを家事生産アプローチから理論的に説明し、かつ、2006 年1月に実施したアンケート調査の結果から得られた理想と現実の家事労働時間分担比率に関するデータを用いた平均値の差の検定によってジェンダー・ディスプレイを実証的に検証したという点で、この分野における分析手法上の貢献が見られる。その実証分析の結果から、夫と妻の間で家事労働時間分担に関してはジェンダー・ディスプレイが発生し、夫が理想の家事労働時間分担比率よりも小さな比率しか担っていないのに対し、妻の家事労働時間分担比率は合理的な時間配分を行った場合よりもはるかに大きくなっており、したがってその効用が大きく低下しているものと考えられる。

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