著者
安川 慶治
出版者
関西外国語大学
雑誌
研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.169-182, 2014-03

R.シューマンの音楽には、音楽そのものの異常さの喩であるような、なにか異常なものがある。ロマン主義の他の作曲家たちと異なって、シューマンの作品の中心にあるのは、主観的な語りではなく、主観的なものの成立そのものを、たえず音楽によって捉え返そうとする強迫である。シューマンの最良の作品の多くに感じ取られる独特の感興-主観的なものの無根拠=深淵を垣間見せる凄みとでも言うべきもの-は、蓋しそこに淵源する。 本稿は、こうしたシューマンという特異点において「音楽とは何か」という問いを問うための予備的な試みとして、彼のピアノ曲の傑作のひとつ《幻想曲》(op.17)の第1楽章を取り上げ、簡単な作品分析によってその異形性を明らかにし、そこに露呈されるものを考察する。

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