- 著者
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植田 均
- 出版者
- 熊本大学
- 雑誌
- 熊本大学社会文化研究 (ISSN:1348530X)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, pp.1-10, 2014-03-25
中国近世語の語彙全体を大別すると、次の2種類になるのではないか。1つは、出自が文言によるもの、もう1つは、出自が所謂"有聲無字"の語である。それは、古代中国語の遺産を受けついでいる点(出自が文言によるもの)と民間庶民の方言・口語("有聲無字"の語)によるものだからである。今回準備した語は、前者が"着[zhuó]、箸(筯)、食、湯"で、元々は文言であった。これらが各々現代共通語"穿、筷、喫(吃)、開水"への「語彙の交替」の様子を中心に示したい。検証方法は、これらの語が明清代北方の代表的資料(《金瓶梅詞話》、《醒世姻縁傳》、《紅樓夢》、《兒女英雄傳》を中心に、《官話類編》、《語言自邇集》等も参考)においてどのような様相を呈しているか調査・分析した。この結果、各作品間では差が見られることが判明した。一方、後者の「出自が"有聲無字"の語」については、"着[zháo]、學、桶、使、拾、落、坐、作(做)"等で、《青海民族研究》編集部の依頼により《青海民族研究》2013年第4期(中国・青海省西寧・青海民族大学)に上梓した。