著者
松下 佳代
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.150-163, 2014-06-30

本稿の目的は、OECD-PISAのリテラシー概念がどのような性格をもち、参加国の教育政策にどのような影響を与えているのかを検討することを通じて、PISAリテラシーを「飼いならす」(Hacking, 1990)こと、すなわち、その影響をコントロール可能なものにすることにある。本稿ではまず、PISAが、マグネット経済や機械との競争というロジックに支えられながら、教育指標としての規範性を強め、国家間の比較と政策借用を通じて教育改革を促す道具になっていることを明らかにした。さらに、1950年代以降のリテラシーの概念史の中に位置づけることによって、PISAリテラシーが<内容的知識やポリティクスの視点を捨象し、グローバルに共通すると仮想された機能的リテラシー>という性格をもつことを浮きぼりにした。ナショナルなレベルでの教育内容の編成にあたっては、捨象されたこれらの部分を取り戻し、能力と知識の関係を再構成する必要がある。

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"定義をみる限りではかなり包括的な内容を備えているが、実際に調査問題に具体化される段階で、グローバルに実施される国際調査として多くの制約を…""知識をめぐるポリティクスの視点をそぎ落とした" →ブクマ

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もう一つ登壇者間で重要必読文献として共有しているのが、今年度カリキュラム学会の課題研究でご登壇頂く松下さんの論考。つ 松下佳代「PISAリテラシーを飼いならす : グローバルな機能的リテラシーとナショナルな教育内容」 https://t.co/fj9IiJFvlj
PISAリテラシーを飼いならす : グローバルな機能的リテラシーとナショナルな教育内容 http://t.co/Z5cnzG8cvX

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