著者
那須 義次 富永 智
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.70-72, 2014

最近,著者の富永が沖縄島でテンニンカ(フトモモ科)の新葉を綴ったりあるいは葉を巻いたりしている見慣れない幼虫を採集した.羽化標本を検討したところ,日本新記録のテンニンカヒメハマキ(新称)Eccoptocera palmicola(Meyrick,1912)であることがわかった.本種は,スリランカから記載された種で,それ以外からの初めて記録となる.また寄主植物を明らかにし,♀交尾器を図示した.本種は前翅開張が9-11mmの小型のヒメハマキガで,♂触角の基部は浅く凹む.前翅は細長く,♂は細長い前縁ひだ(costal fold)をもつ.前翅の地色は白灰色で,前縁部は褐色がかる.肛上紋は白灰色で,中に3本の黒色短線を有する.♂後翅の内縁は伸長し,内縁ひだ(anal fold)をもつ.本種はバンジロウヒメハキStrepsicrates semicanella(Walker,1886)に類似するが,より小さいこと,前翅の地色がより白灰色であること,♂交尾器のソキウスが痕跡的であること,細長いバルバをもつこと,♀交尾器のパピラ・アナリスが大きいこと,コルプス・ブルサエの後方の壁が硬化すること,2個の角状のシグナをもつことで識別できる.バンジロウヒメハマキもテンニンカを摂食するが,本種の終齢幼虫は長さ12-14mmと大きく,体色も暗緑褐色であることで,テンニンカヒメハマキと区別できる.Eccoptocera属はハワイ,グアム,スリランカ,日本(沖縄島),オーストラリア(クイーンズランド)に分布し,6種が知られるが,ハワイには未記載種が9種いるという.本属の幼虫はフトモモ科,ウコギ科およびツツジ科植物を摂食するとされる.本属は,特徴的なウンクス,痕跡的なソキウスおよび前後翅とも翅脈が減少することで単系統性が支持されており,Spilonota,Strepsicrates,HolocolaおよびHermenias属に近縁であるとされる.

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こんな論文どうですか? テンニンカヒメハマキ(新称)(ハマキガ科,ヒメハマキガ亜科)の沖縄からの発見(那須 義次ほか),2014 https://t.co/qKyPsAkXLd 最近,著者の富永が沖縄島でテンニンカ(フトモモ科)の新葉を綴ったりある…

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