著者
南雲 智映 小沼 三智子 梅崎 修
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.94-106, 2014

本稿では,製薬会社の研究開発部門におけるメンタルヘルス不調からの職場復帰の成否に影響を与える要因について,復職者の上司および復帰者本人に対し聞き取り調査を行った。同じ会社の同じ部門内での復職事例を比較検討したことが本稿の特徴である。明らかになったことは以下の通りである。第一に復職の成否は(仕事の質が)易しい仕事から,やや難しい仕事を経て,難しい仕事に移行しているかどうかにかかっていた。メンタルヘルス不調者の復職プランを考える場合には,仕事の量だけでなく仕事の質を考慮して配分する必要がある。第二に,休職前の職場でやや難しい仕事を切り出せない場合があるが,復職成功事例では上司が復職者を他の部に異動させていた。一方,失敗事例ではこのような場合でも上司が異動させる措置をとっていなかった。第三に復職してすぐのタイミングで短時間勤務を行ったかどうかは,最終的な復職の成功に必ずしもつながっていなかった。

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