- 著者
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結城 康博
- 出版者
- 日本保健医療社会学会
- 雑誌
- 保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.104-114, 2005
医療技術の進歩は患者の利益を向上させる反面、社会福祉分野のニーズを高め生活面の課題を担わせることにつながる。確かに、「第一次医療革新」を基本とした医療技術は根治型医療につながり、患者は限られた福祉資源しか必要としなかった。しかし、「第二次医療革新」が基軸となっていく時期には、クライエントは多様な福祉制度の活用に迫られることになった。例えば、人工透析患者や慢性疾患等のクライエントは、「第二次医療革新」を中心とした医療技術の恩恵を受けたものの、より福祉分野のニードを必要とすることになった。本研究では、医療技術の進展に伴う社会福祉分野の役割・機能について分析し、医療と福祉の関連について論じることとする。そして、遺伝子医療が主流になると予測される将来、医療技術の進歩を視野に入れた福祉制度の構築が必要であることを明確にする。