著者
結城 康博
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.58-68, 2001

現在、我が国の社会福祉制度は、措置制度解体によって大きな転換期を迎えようとしている。特に、公的機関中心の制度から市場原理を導入した新たな枠組みで社会福祉制度が構築されようとしている。しかし、そもそも市場原理の導入がうまく機能していくためには、需要と供給がバランスよく均衡していなければならず、現状の福祉分野では供給不足が目立ちうまく機能しているとはいえない。本稿では、この需給のアンバランス状態を指摘したうえで、安易な社会福祉制度における市場原理の導入が危険であることを述べ、その根源は、従来から「国家」対「市場」といった二極的な概念に基づく政策論争にあることを指摘したい。そのため、アマルティア・センの「潜在能力」アプローチから今後の社会福祉制度を検証することで、新たな福祉制度概念を提唱しその方向性について述べていきたい。
著者
結城 康博
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.104-114, 2005

医療技術の進歩は患者の利益を向上させる反面、社会福祉分野のニーズを高め生活面の課題を担わせることにつながる。確かに、「第一次医療革新」を基本とした医療技術は根治型医療につながり、患者は限られた福祉資源しか必要としなかった。しかし、「第二次医療革新」が基軸となっていく時期には、クライエントは多様な福祉制度の活用に迫られることになった。例えば、人工透析患者や慢性疾患等のクライエントは、「第二次医療革新」を中心とした医療技術の恩恵を受けたものの、より福祉分野のニードを必要とすることになった。本研究では、医療技術の進展に伴う社会福祉分野の役割・機能について分析し、医療と福祉の関連について論じることとする。そして、遺伝子医療が主流になると予測される将来、医療技術の進歩を視野に入れた福祉制度の構築が必要であることを明確にする。
著者
結城 康博
出版者
日本公共政策学会
雑誌
公共政策研究 (ISSN:21865868)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.66-74, 2019-05-20 (Released:2021-10-02)

現在,自治体行政において福祉分野は,大きなウエイトを占めており,これらの裁量権はかなり都道府県や市町村に委ねられてきた。しかし,未だ国のルールに縛られている部分も事実である。その要因としては財源構成にもあるとも考えられ,全て自治体の自主財源で運営されているわけではないため,一定の「国」の関与は避けられない。昨今,「地方分権」が叫ばれる中,これらの一定の推進は進められるべきであるが,医療や介護等といった福祉政策においては中央集権的な国の関与は認められるべきと本稿では述べていきたい。なぜなら「普遍性」「公平性」といつた理念が重要視され,どこの地域においても一定のサービス水準が担保されなければならないからである。本稿では,自治体福祉施策における,地方分権のあり方の方向性を考察していくものである。