著者
関 由起子 山崎 喜比古
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.25-38, 2004

本研究は、注射業務のエラーを発生させる業務過程と防護の欠陥を明らかにするために、4病院14病棟とその病棟に所属する看護師を対象とし、業務観察、聞き取り調査、質問紙調査、エラー事例面接を行い、多側面から業務分析を行った。その結果、8つの注射業務段階を医師、薬剤師、看護師が順に担っていたが、全体をみるとエラーを最小にする単純化、標準化、可視性、可逆性に乏しい業務過程であった。注射業務過程に存在する防護は、指示内容と各段階で扱う薬剤情報との照合確認、次段階の担当者への業務終了合図と情報伝達、適切な作業行為の保障、指示内容の妥当性の検討の4つが抽出された。しかし各防護の手段は一つであり、エラーが他で発見・訂正されるシステムは存在せず、多重の防護は存在しなかった。有効な事故防止対策立案には業務分析が必須であり、エラーの発生を最小限にする業務過程の構築と、エラー防護の欠陥を改善することが重要であった。

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