著者
涌井 剛 関 由起子
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 = Journal of Integrated Center for Clinical and Educational Practice (ISSN:13477420)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.139-142, 2017

長期入院中の高校生への学習支援が十分行われていない。その支援制度を確立するためには、当事者である入院中の高校生自身が知事への提言という行動を起こさざるを得ない現状がある。そこで本研究では、長期入院する高校生の教育支援方法とその必要性について、日々子どもたちと向き合っている教員という立場から論じる。また、高校生への学習支援制度のない自治体における支援方法のひとつとして、特別支援学校のセンター的機能を活用した高校生への支援についての実践についての効果と課題についても論じる。
著者
関 由起子
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.148-152, 2018 (Released:2018-07-31)
参考文献数
12

小児がん患者の生存率は医学の進歩により飛躍的に向上し,成人し自立した人生を歩むことが出来るようになった.しかし,入院中の子どもたちへの学校教育への支援は不十分であり,将来の自立に負の影響を及ぼしている.本論では入院中の子どもたちの学校教育の課題を踏まえた上で,病弱の特別支援学校(小・中学校のみ)がセンター的機能を用いて行った,入院中の高校生への学習支援の取り組みと課題について論じる.A特別支援学校ではこの学習支援の目的を 1.学習空白をなくす,2.心理的安定および学習意欲を高める,3.在籍高校との所属感の維持継続を図ると定め,併設するB病院および高校生の在籍校と連携し,大学生ボランティアと共同で学習支援を行った.2016年度に支援を受けた生徒9名へのアンケートや関係者への発言等を質的に分析した結果,目的に対する効果が得られたことが明らかになった.特に大学生による支援は,高校生の心の安定に対して教員からの支援では得られない大きな成果が見られた.しかし,高等学校の制度に基づいた教育支援でないため,自己学習が困難な生徒や留年が懸念される生徒には十分な支援が出来ず,また病弱特有の“自立活動”を行うことが出来なかった.大学生ボランディアの導入にも様々な課題があるため,入院中の高校生への特別支援教育の制度体制の見直しが必須である.
著者
関 由起子
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教育学部 = Journal of Saitama University. Faculty of Education (ISSN:18815146)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.297-306, 2018

Although the school-nurse teacher in Japan (Yogo teacher) has developed uniquely for caring for students at school, students and their parents sometimes hardly understand the role of the teacher. The purpose of this study was to explore the thoughts of parents of students about who the Yogo teacher is and what roles do they expect the Yogo teacher to fulfill. An online survey was conducted with 1000 mothers of children in elementary and high schools across Japan. Results showed that over 80% mothers neither knew the formal name “Yogo teacher,” nor that the teacher must have a Yogo teacher license. About 60% thought that the teachers have nurse or public health nurse license. Those who thought that the teachers have nurse or public health nurse license significantly expected Yogo teachers to perform first aid. On the other hand, 6.6% mothers thought that the teachers do not need a special license and had no expectations from teachers. These results revealed that each parent had a different perception and expectations from the Yogo teacher. To identify the health needs of students and support them more effectively, Schools need to explain their functions and roles to students and their parents more often.
著者
山崎 敬一 山崎 晶子 久野 義徳 池田 佳子 今井 倫太 小野 哲雄 五十嵐 素子 樫村 志郎 小林 亜子 関 由起子 森本 郁代 バーデルスキー マシュー 川島 理恵 中西 英之 小林 貴訓
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、人間の言語的・身体的相互行為とそれを支援する身体化されたテクノロジーのデザインに関心を持つ社会学者とロボット工学者の共同研究である。本研究では多文化に対応する身体化されたテクノロジーを開発するために、海外のミュージアム等で研究を行い、そこでの人間同士の言語的・身体的行為をヴィデオエスノグラフィーの手法で分析した。また、日本語話者と英語話者に対する比較ロボット実験と、日本とハワイを結ぶ遠隔ロボット実験を行った。
著者
関 由起子 山崎 喜比古
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.25-38, 2004

本研究は、注射業務のエラーを発生させる業務過程と防護の欠陥を明らかにするために、4病院14病棟とその病棟に所属する看護師を対象とし、業務観察、聞き取り調査、質問紙調査、エラー事例面接を行い、多側面から業務分析を行った。その結果、8つの注射業務段階を医師、薬剤師、看護師が順に担っていたが、全体をみるとエラーを最小にする単純化、標準化、可視性、可逆性に乏しい業務過程であった。注射業務過程に存在する防護は、指示内容と各段階で扱う薬剤情報との照合確認、次段階の担当者への業務終了合図と情報伝達、適切な作業行為の保障、指示内容の妥当性の検討の4つが抽出された。しかし各防護の手段は一つであり、エラーが他で発見・訂正されるシステムは存在せず、多重の防護は存在しなかった。有効な事故防止対策立案には業務分析が必須であり、エラーの発生を最小限にする業務過程の構築と、エラー防護の欠陥を改善することが重要であった。